こんにちは、ソフィー・ジ・アカデミーの西です。3/27(日)に、通信コースで「学習ステップスを使って一緒に読もう!オンライン学習会」を行いました。この開催レポートではその様子と、ソフィーメソッドの『ナナメ読み』について、考え方やコツをご紹介します。
今回はスタッフ2名を含めた7名で学習会を行いました。読まれていた洋書テキストはこちらです:
“Helping”【 リーダーシップ学101】
“The New Long Life”【ライフプラン学102】
“Switch”【行動心理学】
“Daring Greatly”【ヴァルネラビリティ学】
“The Story Factor”【コミュニケーション学203】
オンライン学習会の終了後は30分間、自由参加の座談会として皆さんでお話をしています。今回は、ナナメ読みについての皆さんの声をたくさん聞くことができました。
「洋書をナナメ読みするようになって、日本語の本の読み方も変わった」「時間制限を意識するとできるようになった」「スクーリングに参加してみて、感覚が掴めた」などなど、皆さん様々に『ナナメ読み』や洋書との関係性を築いてきたことが伝わってきます…(^_^)
裏を返すと、「ナナメ読みはこんな感じかな!」と分かるまでに、皆さんそれぞれに苦戦されたり、時間が掛かったりということもあるのかもしれません。そこで今回の開催レポートでは、『ナナメ読み』について改めて考えてみたいと思います。
ナナメ読みってイマイチよく分からない…
『ナナメ読み』はソフィー・ジ・アカデミーでおすすめしている洋書の読み方です。この読み方は、中学校や高校などで英語の基本として学ぶ、一文ずつ、一語一句、英文を和訳していく方法とは正反対です。はじめは「よく分からない、できない」と感じられる方がほとんどです。「こんな感じで、大丈夫なのかな…?」と、慣れるまで不安に思われることもあるかもしれません。
ナナメ読みという名前から、
「飛ばし飛ばし読む。詳細をじっくりと読んではいけない。」
「速いスピードで読まなければいけない。」
という印象を受けることがあるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。
ではナナメ読みとはどういうことなのでしょうか?
改めまして、ナナメ読み!
『ナナメ読み』とは?を改めて考えるときに、特にポイントとなるのは、ソフィー・メソッド の
『トップダウン』
『わんこそば効果』
『フォーカス』
です。
ここからの内容では、ナナメ読みができるようになった!慣れてきた!と感じた生徒の皆さんの言葉をお借りして、この3つのメソッドを改めてご紹介したいと思います。
『トップダウン』とは?
メソッド2
トップダウン
全体像をつかんでから細かい部分を理解していく学習のプロセス。従来の教育機関はこれと反対の「ボトムアップ」で学習することを指導しているが、この方法は大量の情報を処理していくのには向いていない。反対にトップダウンは大量の情報処理に適しており、高度情報化社会には極めて重要な学習方法である。
ソフィーメソッドでいうところの『トップダウン』は心理学で用いられる言葉です。トップダウンは「大量の情報処理」に適した思考、理解のプロセスです。本を読む、資格取得に向けて勉強をする、料理を作るなど、大量の情報や細かなタスクを含んだプロセスには、一般的にトップダウンでのアプローチが向いていると言われています。
『ナナメ読み』はジグソーパズルのように!
トップダウンのアプローチは、ジグソーパズルをイメージしてみると分かり易いかもしれません。 ジグソーパズルは、完成図を見ながら、まずは外側の枠を作っていきますね。外側の枠ができたあとは、上から2段目など決まった部分に進むのではなく、色や模様など、分かり易い手がかりのある部分がどこにあるか考えて、ピースをつなげていくと思います。
洋書を『トップダウン』で読む時も同じことを行います。 本の枠組みや全体像が分かるように、まずは目次を読みます。今週の範囲を読み進める際には、まずは今週の範囲の枠組みを知るために、何ページあるのか、何チャプターあるのか、細かい見出しはどのくらいあるのか、図や表はあるか?などのポイントを確認していきます。
枠組み、全体像がぼんやりとイメージできたら、その後はそれぞれの見出しごとに何が書かれていそうか推測したり、分かる部分を読んだりして、パズルを少しずつ埋めていきます。
毎日10分など、少しずつ『ナナメ読み』をしていく時には、ついついこの枠組みや全体像の存在を忘れがちです。読み始める際に、「今月は○○というテーマが扱われている本で、今週の範囲は××についてのチャプター。この時間は△△についてのエピソードの部分を読んでみよう。」と、枠組みと詳細の位置関係を、改めて確認するのもおすすめです。
『わんこそば効果』とは?
『学習ステップス』 に沿って行う『ナナメ読み』は、1週間分の範囲だけでも3回に分かれています。 『ナナメ読み』は分けること、と、繰り返すことも大きなポイントです。この分けることによる効果を『わんこそば効果』と呼んでいます。
メソッド3
わんこそば効果(加点学習法)
わんこそばはひとつのお椀が小さいからたくさん食べられてしまうように、学習も小さなステップに分けてあげると集中力が続き、結果的に大量の学習ができてしまう、という効果。少しずつ進歩を確認していく加点法評価(メソッド6)もしやすくなる。
わんこそば効果についてより詳しくはこちら→ソフィー学習塾ブログ『もっと楽に学習成果を上げる方法:「わんこそば効果」』
『ナナメ読み』は漆塗りのように!
洋書を読むプロセスを分けることと繰り返すことについて、以前生徒の方が、「ナナメ読みは「漆塗り読み」のような感じですね」と表現されていて、確かに!と思いました。そして風流で素敵ですよね。似たところでは、ネイルアートに例えてもいいかもしれません。
漆塗りやネイルアートでは、いくつかの工程に分けて、数回に渡って塗り重ねていきます。1回目にひとつの部分を100%塗り終えて、次に他の部分を塗るのではなく、まず薄く全体を塗り、その後に、また全体を薄く塗り重ねて、段々と鮮やかに発色させていきます。
ナナメ読みも同じです。1回目のナナメ読みで1ページ目を100%理解する、2回目のナナメ読みで次のページの全てを理解する、とは進みません。数回のナナメ読みを通して、30~40ページくらいの範囲を行き来しながら、書かれている内容が徐々に分かってきます。
数回のナナメ読みを繰り返して理解を深めていくということは、『1回のナナメ読みで分からなくても大丈夫』ということでもあります。「全然分からない…」と感じた時にも、まだ薄い理解の1層目なのだと思い出して、段々と理解の層が重なっていく、分かったことが増えていくプロセスを楽しんでみてくださいね。
『フォーカス』とは?
洋書を開いてみて、大量のページと英文と、見たこともない単語を目にして「全然わからない…」と圧倒されてしまうこともあるかもしれません。そこで改めて意識したいのが、ソフィーメソッドの一つ目『フォーカス』です。
メソッド1
フォーカス
目的や目標をはっきりさせてから学習に取り組むこと。これにより最小限の力で必要な情報が頭の中に自然に入ってくるようになる。
『ナナメ読み』はつまみ食いのように!
以前ナナメ読みのことを、「つまみ読み」と表現されている生徒の方がいらっしゃいました。「つまみ食い」で食べたい!と思ったものを食べるように、知りたいところ、好きなところ、自分に必要だと思うところを選んで読んでいくという『ナナメ読み』のイメージにぴったりだと思いました。この読みたいところ、好きなところ、知りたいと思うところが『フォーカス』です。
「知りたいところ、自分に必要なところ」等というと、なにやら大げさに聞こえますが、たとえば
「ここでは職場での感謝の伝え方についても書かれているんだな、気になる。」
「なぜここで眼鏡の話をしているのだろう?」
「モチベーションに関する章か…なんだか面白そう。」
など、どんなに些細な疑問やリアクションでも、それは大切な『フォーカス』になり得ます。
始めの数回の『ナナメ読み』では、「知りたい!」「なんだろう?」「面白そう」などのリアクションを、どんどん本に書き込みながら読み進めていくのがおすすめです。リアクションをひと通り書き終えたら、一番気になったところに戻って、詳細を読んでいくのも良いですね。
反対に『フォーカス』を意識せずに読み進めると、難しい単語や分からない内容に気を取られてしまったり、「ひとまず全て読んだけれど、内容はあまり覚えていない」と感じたり、読む楽しさが薄れてしまうこともあると思います。『フォーカス』を意識することで、「???」→「わかった!」という体験を少しずつ積み重ねていきましょう。
『ナナメ読み』のポイントとたとえをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。「ナナメ読みはこんな感じでできるようになりました!」「こんなネーミングもイメージにぴったりでしょう」など、「私のナナメ読み」のお話があれば、ぜひシェアしていただけると嬉しいです(^0^)
『トップダウン』の説明や、ジグソーパズルのイメージについては、ソフィー・ジ・アカデミー元講師で、日本語の読書術や学習術の開発をされている宇都出雅巳さんの言葉もヒントになると思います。
宇都出雅巳さんの著書『英語楽読法』の内容は、ソフィー・ジ・アカデミーも協力しているので、ソフィー・ジ・アカデミーや洋書テキストの名前も本の中に見つけられます。ご興味がありましたら、こちらの記事もご覧ください。
宇都出雅巳さん出版記念セミナー、無事終了しました! (旧ソフィー・ジ・アカデミーブログ 2013-03-23)
“ざっくり&繰り返し” こそが最強の本の読み方である——「高速大量回転法」生みの親・宇都出雅巳さん特別インタビュー【第1回】 (Study Hacker 2017-12-17)
ナナメ読み、学習ステップスに関する参考リンク