Entrepreneurship【起業学】

Founders at Workテキストは”Founders at Work”。これはアメリカで事業を起こし、成功した32人のインタビュー集です。その中にはYahoo!やHotmailなど日本でもよく知られているサービスも多数紹介されています。この本をテキストとする「起業学」の講義では次のことを学んでいきます。

  • アメリカの成功した起業家たちが共通して持っている「在り方」とは何か
  • 彼らがトラブルに直面したとき、どのように対処したのか
  • 彼らはどこで起業のアイデアを得たのか
  • 彼らは事業を起こす仲間たちとどこでどのようにして出会ったのか
  • 彼らが困難な状況に陥っても、事業を継続しようと思ったのはなぜか
  • 一般の人たちが起業に成功するためのコツは何か

講師はソフィー英語大学洋書学部の学生でもある永井さんです。

特別講師プロフィール

永井正敏 (ながい まさとし) 1967年神戸生まれ 映画プロデューサー。東京大学法学部卒業。
高校時代に見たカンヌ映画祭の華やかな映像にあこがれて映画の世界を目指す。 1997年より外国映画買い付け(バイヤー)の仕事に。 2000年、当時買い付けた作品がカンヌ国際映画祭のコンペティション部門にノミネートされ、憧れだった”カンヌの赤じゅうたん”を初めて歩く。 2005年数社共同で買い付けた「私の頭の中の消しゴム」は、折からの韓流ブームもあって、日本での韓国映画の歴代興行記録No.1を達成した。 その後、ソフィー・ジ・アカデミーの「洋書塾」(現・行動するための洋書学部)の開講とともに参加。 そこで出会った1冊の本”Conversations with Millionaires”とメンター=ジム・ローンとの出会いを通して、自己啓発・心理学・NLP・マーケティングなど多方面に関心が広がる。 最近では、製作・プロデュースに関わった山田優主演のコメディ「劇場版 カンナさん大成功です!」が公開された。

2009/1/15(木) いよいよスタート!

今回から「いっしょにやってみよう!」のコーナーで 記事を書かせていただくことになりました masaです。今回、ぼくが取り上げますのは “Founders at Work”  という本になります。この本を一言で説明すると、 アメリカのいわゆるIT系の企業を立ち上げて、 今うまくいっている会社、その32の創業者の方々へのインタビュー集。

  • 成功の秘訣
  • ビジネスモデル
  • 逆境・苦境をどう乗り越えたか
  • 人生観や仕事観

を聞くという内容です。

Conversations with Millionairesぼくがソフィーに入って最初に読んだのが、 “Conversations with Millionaires“という、全米の成功者へのインタビュー集。この第一章でジム・ローンのことを知り、 翌年にはアメリカの テキサス州のセミナーに参加。ぼくにとってメンターの一人 人生を大きく変えるきっかけになりました。その意味では、 Founders at Workは、 “Conversations with Millionaires”の IT起業家版とも言えます。いやー楽しみです。

2009/1/16(金) 心理的リアクタンス

読みはじめる前に、この本がどのように評価されているか? アメリカのアマゾンのレビューを見てみました。これはある意味、 洋書を読みはじめる前に期待感を高める、 ソフィーメソッドの”心理的リアクタンス”。今現在、70もの! 評価コメントが書かれていました。以下に、「読むぞ」という期待感を上げてくれるコメントを いくつか抄訳でご紹介します。

  • このインタビューを読むことは、32人のメンターを持つことにあたる!
  • インスピレーションにあふれ驚くべき内容!
  • 図書館で読んだが、「これは自分で持ちたい」と思い、買うことにした。私にとってベストの買い物だった。
  • もし、億万長者になりたければどうしますか? 億万長者に話をきくでしょう。では、もしあなたがITテクノロジー会社を立ち上げたいときにはどうすればよいか? この本を買えばよいのです。本当に偉大な本だ!
  • 自分は.com系の仕事に再度携わってみたくなった。なぜ彼らは成功したのか?仕事が好きなのか? ということに深い洞察を得られた。仕事でもない。お金でもない。彼らは自分達がやっていることが大好きなんだ。それこそが大切なんだということを気づかせてくれた本だ。

そして、未邦訳とあっては、 読むのが本当に楽しみになります。

2009/1/17(土) あの会社もこの会社も!

Founders at Workの中で、取り上げられた32の企業 日本でもなじみの深い会社も、聞いたことのない会社もあります。ぼくでも知っている会社といえば・・・

  • hotmail
  • apple
  • adobe
  • yahoo
  • google
  • excite
  • pay pal
  • firefox

などなど、キラ星のような、IT系の代表的な会社が並んでいます。そして、自分が知らない企業の章を読み始める前に、 そこのHPを事前に訪れる。その会社の”雰囲気”を感じて、読み始める ”トップダウン読み”も手法としては面白いかなと思いました。いよいよ、次回は、第1章のPaypalを読んでいきます。

2009/1/20(火) 前書きからのインスピレーション

いざ、本文を・・・ と思ったのですが、詳細な前書きを読んでみることにしました。序文は著者とは別の方によって 32の会社の特徴が要約されていました。

ここに出てくる32の会社の特徴は、 ドラマティックな成長を遂げた会社ばかりだが、 共通する特徴は最初はほんの数人で始めたことである。

それがまさにポイントだと指摘しています。そこで思い出したのが、このことば。『ウェブ進化論』の梅田望夫さんが 著書『ウェブ時代5つの公理』の中で紹介されていた、 サンマイクロ・システムズの創業者ビル・ジョイ。

“World-changing things always start small. The ideal project is one where people don’t have meetings, they have lunch. The size of the team should be the size of the lunch table.”
- by Bill Joy

”世界を変えるものも、常に小さく始まる。 理想のプロジェクトチームは、会議もせず、 ランチを取るだけで進んでいく。チームの人数は、 ランチテーブルを囲めるだけに限るべきだ。” ( ビル・ジョイ)

なるほど!こういう会社のエッセンスが32も詰まっている本なんですね。

2009/1/21(水) 成功者はいつも確信している?!

次に著者自身が書いたイントロダクションの部分を読んで、 目に飛び込んでくるキーセンテンスを拾ってみました。

32人の創業者にインタビューする中で、 いくつかの共通したキーワードやパターンがあり、 それを読者にシェアしたいという想いでこの本を上梓した

ふむふむ。32人の共通項ね。一番、注目したのが、この一節 このような人達は、 ”絶対に自分たちの仕事はうまくいくという確信や人並み外れた自信” を持って仕事をはじめたのだろうと イメージする読者が多いかもしれない。でも、実際にインタビューしてみると、 「自分達は最初、何か世のためになることをしようと思うのだが、 それがうまくいくかどうかはやってみないとわからない。」 という漠然とした不安を抱えながら 事業をはじめているということがわかります。

いま軒並み外れた成長を遂げたIT企業の経営者たちも 最初は、不安を抱えながらスタートとした フツーの人たちだったんですね! ただし・・・

2009/1/22(木) 成功者が持ち合わせている資質

ただし・・・と 著者は続けます。ただし、

  • 「やろう!」という絶対的な決断 determination
  • 忍耐力 perseverance
  • 行動しながら変更を加える柔軟性 adaptable

も同時に持ち合わせていたと。たとえば、最初はPayPalも今とは違う事業形態を持っていたのだが、 試行錯誤を重ねるうちに今の事業形態になったそうです。

そして、 これらの企業に一環してあるのはユーザーへの共感だと、著者はいいます。起業で結果的に財をなしましたが、お金のためではなく、 ”職人としてのプライド” や ”世界を変えたいという想い” が共通してあるといいます。そしてさらなる、事業意欲です。

もちろん経済的な自由を得たことを喜んではいますが、 それにより例えば アーリー・リタイアする ということはなく、 「更に、なにかもっと多くのものを世の中に積み上げていきたい。」 というところに、共通する想いがあるのではないか? と著者は指摘します。

2009/1/23(金) 著者の思い

イントロダクションの最後に著者は書いています。

I hope a lot of people who read these stories will think, “Hey,these guys were once just like me. Maybe I could do it too.”

  • 32人のインタビューを読むことで、誰もが彼らから学ぶことができるような 原理原則をお伝えできる。
  • 「なんだ、こういう人たちも最初は自分達と同じように自信のないままに 物事をはじめたんだな。」と知ってほしい。
  • 「これだったら自分にも出来そうだ。」と思う、起業家が 世の中に一人でも多く輩出すれば、著者のこれに勝る喜びはない。

と。さあ、これで読むべきフォーカスは定まりましたね。

2009/1/24(土) この本にソフィーメソッドが最適な理由

Conversations with Millionairesソフィーでも人気の高い成功哲学のテキスト “Conversations with Millionaires“は、Mike Litmanという著者が ミリオネア9人に、それぞれの成功の秘訣を聞くという内容でした。今回も、32人のIT系創業者達に向けての インタビュー形式です。著者としてインタビュー相手の順番や構成に どれくらい意図があるかは、今の時点では判りません。後で全体を読み終わったときに 何が見えてくるのか楽しみです!

Chapter1には、 PayPalの共同創業者であるMax Levchinのインタビュー。実は今回のような、 インタビュー形式の本では、ソフィーメソッドが存分に威力を発揮する!ことになります。なぜなら、それは・・・

2009/1/26(月) トップダウンの威力

インタビュー形式の本では、 特にソフィーメソッドが存分に威力を発揮します。”ナナメ読み”と”トップダウン”どういう内容かは、まず、質問者の質問だけを 拾い読みすることで、判るからです。そして、常識的なインタビュアーならば(笑) インタビューの質問のほうが、答えより圧倒的に短い!Chapter1に出てくる、質問(question)を列挙してみます。 後日の便宜のために、番号を振っておきます。

  1. PlayPalどういうふうにしてはじまったか?
  2. 創業のアイデアはどこから?
  3. 事業戦略について。
  4. 新しい出資者を得たときのこと。
  5. 圧倒的にユーザーが増えたときのこと。
  6. 障害が起きたときにどうやって対処したか?
  7. PayPalとはセキュリティー・カンパニーですよね?

    →会社としての存在意義、アイデンティティーの質問

  8. 競合他社についての質問
  9. 事業をやめたいと思ったことはありますか?
  10. 若いプログラマーへのアドバイスは?
  11. 投資家との関係は良かったですか?
  12. 何か大きな間違いをしてしまったことはありますか?
  13. PayPalがM&Aされたときに変化はありますか?

といったことを質問しています。つまり、第1章はこれらについて書かれているということです。そして、これらの要点は、 英語の特性上、おそらく答(answer)の最初の センテンスやパラグラフに書かれていることでしょう。

Chapter2以降での 起業家の共通点や原理原則に気づくために Chapter1は少し念入りに読んでみることにしましょう。次回からは何度かにわけて 内容を掘り下げていきたいと思います。

2009/2/4(水) インタビューを劇的に理解する2つのフレーム 〜 その1 神話の法則

今回、PayPalの本文を読んでいく時に、 フォーカスすべき質問をふたたび明確にしておきましょう。

  • 32人に共通する考え方
  • ビジネスをはじめたきっかけ
  • あるいは困難をどのように乗り越えてきたか

ですね。そして前回の番号をつけた質問13個をよくよくみてみましょう。実のところ2つの視点をもつことで 読むべきポイントが絞られるのではないでしょうか?ひとつは時間軸=タイムライン。質問で言うと 1)、5)、6)、13)などでしょうか?

時間軸(タイムライン)というのは、いわゆる企業の 「過去〜現在〜未来」の時間の流れのことです。どういうきっかけではじめたかというタイミング、 また、ビジネスに付きまとう、うまくいった時期、うまくいかない時期。その山あり谷ありをどう乗り越えてきたかという タイムラインのフレームワーク。

これは、「神話の法則」〜英雄の旅 Hero’sJourneyというコンセプトを理解しておくとよいでしょう。偉業をなした人の人生

古くは『スターウォーズ』や『ロッキー』 最近では『マトリックス』や『ロード・オブ・リング』など 大ヒットしたハリウッド映画のストーリー展開 など ヒーローと呼ばれる 伝説や大きな成果を上げる人や組織は すべて「神話の法則」に還元されるのではないか? というジョセフ・キャンベルの研究によります。松岡正剛さんの記事がとても詳細で分かりやすいです。

そして、大切なことは以前に書いた

いま軒並み外れた成長を遂げたIT企業の経営者たちも最初は、不安を抱えながらスタートとしたフツーの人たちだった ということです。

フツーの人が、ヒーローになっていく過程が、「英雄の旅」もしいま、 「自分は逆境の中にいる」 と思っている方、チャンスですね。ぜひこの”英雄の旅”を意識されてくださいね。この”タイムライン”と”神話の法則”を念頭において、 1)、5)、6)、13)の質問と答えを読んでみましょう。

そして、 時間軸(タイムライン)についで、意識しておく もうひとつのフレームは・・・

2009/2/6(金) インタビューを劇的に理解する2つのフレーム〜 その2 SWOT

時間軸(タイムライン)についで、意識しておく もうひとつのフレームはSWOT分析です。初めて聞く方には、 具体例があったほうがいいですね。経済産業省のHPの中にある SWOT分析の実例です。醤油メーカーのキッコーマンについて(http://www.meti.go.jp/feedback/downloadfiles/i50613fj.pdf)具体的にはこの質問の中でいうと、 4)、5)、6)あたりです。

セキュリティーカンパニーというアイデンティテイや 競合他社に対する質問がありますね。PayPalをPayPalたらしめている理由。強み、弱み、機会、脅威。たとえば、障害が起きたときにどういう対策をとったか、 タイムラインでいうと逆境時にどのような対策をとったかということで、 このPayPalが他の競合他社と比較したときの強みが出てきます。

SWOT分析、そしてタイムライン。この二つのフレームワークを意識することで 非常に質問が整理されてきます。そこのところを考えていくと、 もはや本をページのはじめから順番に読む必要すらなく、1)、2)、13)はタイムラインのお話 4)、5)、6)はタイムラインでいう不調のとき、好調のとき 競合他社についての質問が いわゆるSWOT分析でいう”脅威”にあたります。だから、これだけを拾い読みすれば、 必要な情報はこと足りるんですね。

2009/2/20(金) Hotmailは、はじめからすごかった?

“Founders at Work”のChapter2は Hotmailの創業者Sabeer Bhatia氏のインタビューです。Hotmailと言えば 世界中で最も有名なメールサービスのひとつ。そんな大きな会社を立ち上げたときには きっと壮大で綿密なビジネスプランがあり、 有能なスタッフが多数いて、 資金も潤沢にあったのではないか と思ってしまいます。ところが、、、

  • 本当はJavaSoftを使った全く別のアイディアで起業しようとしていた
  • 投資家から投資してもらうのに、投資についての知識もあまりなかった
  • サービスを開始してからも 初期の頃は資金集めが大変だった

など、とても後に世界中の人が使うサービスになるとは 想像できないような始まり方だっだようです。はじめからすごくはなかったんですね。この辺りの事実を知って、 はじめから全てそろっていなくてもいいのではないか、と 何だかちょっと勇気がもらえた気がしました。

2009/2/22(日) Hotmailのアイディアの発想法

Hotmailは最初から人もお金も知識もそろっていたわけではない ということを知って、 ちょっと驚きもし、また勇気ももらいました。でも、今これだけ全世界で使われているサービス。きっと何かこのサービスには 世界中の人をひき付ける秘密があるに違いありません。ビジネスの素人ともいえるような創業者たちは 一体どうやってHotmailのアイディアを思いついたんでしょう。

はじめは全く別のJavaSoftを使ったサービスで 起業しようと思っていたことから Hotmailのサービスに至る経緯は 本書p.18の下のほうで説明されていました。もともとHotmailは 自分たちが不便だと思っていたことから 思いついたアイディアなのだそうです。そして、いよいよHotmailのアイディアが生まれる瞬間。この発想の仕方がとても素晴らしい。 感動した一言があります。

“If that would solve our problem, it would solve the problems of many others.”
(p.19)

自分が必要としているもの、サービスは 他の人も必要とするかもしれない。自分の問題は、他の人の問題でもあるんだ。自分の問題が解決できれば、 他のたくさんの人の問題も解決できるんじゃないか。自分が不便だと思っていることから 他の多くの人の問題を解決するアイディアに至る。

この発想の仕方には 僕たちも真似できることがありそうです。あなたが不便だと思っていること、 不快に思っていること、 疑問に思っていることは何ですか? そのことをただの嫌なことに終わらせず、 よりよく観察することで、 Hotmailのように 他の人を幸せにできるアイディアが思いつくかもしれませんね!

2009/3/20(金) パワフルな女性起業家からのアドバイス

Chapter22は女性起業家 Ann Winblad氏へのインタビュー。1976年にOpen Systemsという 会計ソフトの会社を立ち上げた人です。彼女は兄弟も多く、家も裕福ではなかったので 生い立ちは決して恵まれたものではありませんでしたが、 その分、生きる力がついたとでも言うのでしょうか、 幼い頃から自分で稼ぐというようなことをしていたようです。

大学時代にものすごい数の授業をとったとか、 はじめての就職のところもなどおもしろいのですが、、、ここで書くと長くなるので それは読んでのお楽しみとしましょう。 (彼女のバイタリティーあふれる学生生活は298ページ上から、  就職の話は同じページの下のほうから書かれています)

とにかく、アメリカでも 大学で勉強したり、社会に出て働く女性がまだ珍しかった時代に 会社を立ち上げたパワフルな人。そんなパワフルな彼女からのアドバイスがこれ。

 You’re always going to be short of people,  you’re always going to be short of money,  you’re going to be short of source supply value.  So you have to find leverage points, . . .  (307ページ、一番下の段落)

 「人が足りないとか、お金が足りないとか、  いつでも何かが不足している状態はある。  だからleverageを見つけることが必要なんです。」

なるほど。会社を経営している人はいつも 何かが足りないと思っている。いや、会社を経営していない人だって いつも何かが足りないと思っている人は 多いんじゃないかな。それを足りない、足りない、 と言っているんじゃなくて 工夫することが大切なんだ。

足りないものでなく、 利用できるもの、プラスとなるものを探す。これは経営だけでなく、 人生全般につかえるアドバイスだと思いました。そしてさらに、 次のChapter23を読んでいくと・・・

2009/3/26(木) 制約はギフトだ

… those constraints – which sound negative – were actually the greatest gift to the development of Basecamp. (p.311、2行目から)

090326これは37signals社の社員である David Heinemeir Hanson氏の言葉。 これは前回紹介した Ann Winbladの言葉と同様 僕に勇気をくれる言葉でした。constraintとは制約という意味。

ふつうは制約があることは マイナスの要因と、とらえてしまいます。でも彼は違った。彼は制約があったことが 逆によかったんだ言っています。彼がこのBasecampという 製品の開発していたときには、

  • 人が足りない。
  • お金が足りない。 などの制約がありました。

ふつう、この規模のソフト開発には 200人くらいが関わるそうですが、 Basecampの開発者はたった3人。そしてプログラマーはDavid1人だけ。また当時、 37signals社はコンサルティング会社で ソフトウェア開発のための予算は ほとんど出なかったのだそうです。

この制約の中での気づきが 冒頭の「制約はギフトだ」という言葉。この気づきを得たことで 「本当に必要なもの」にフォーカスできた、 と言っています。限られた条件の中では 無駄をしません。その時にできる最善のことをしようと 頭をしぼります。最も生産性の上がる方法で 仕事をしようと努力します。不要なものは排除され、 本当に必要なものが 生み出されます。だから 制約はギフトなのです。

不景気の今、 ほとんどの人が制約を感じていると思います。ということは 今、僕たちはギフトをもらっているとき なのかもしれません。そうだとしたら、 今はまさによいものだけが残るチャンスの時代。この状況をギフトとして受け止めてみる。そうすることで、 世の中、本当に大切なものだけに なっていくかもしれません。「制約はギフトだ」この言葉を知ったことで、 いい時代に生きていると 言えるようになりそうです。

2009/3/31(火)人?アイデア?環境?

起業学”Founders at Work”も いよいよ大詰め。ここで、この講義の全体を 振り返ってみたいと思います。このテキストの醍醐味は 何といっても32人の起業家たちの話が 一度に聞けるというところでした。いろいろな話がありました。失敗談、苦労したこと、 人やモノとの出会い、 そしてそれらからの気づき、 僕たちへのアドバイスなどなど。どれもがエキサイティングで 勇気を与えてくれるものでした。

僕は、このブログのはじめに 「32人の起業家たちの共通点を見ていく」 というフォーカスを決めました。どんな共通点があったか。まずは、著者が冒頭で述べているように

  • 少ない人数で始めた
  • 不安を抱えながらスタートした
  • 決断、忍耐力、柔軟性を持っていた ということ。

こうしたことは どのインタビューからも感じることができました。しかし、さらに僕が注目したのは、 「成功の要因は?」 という質問に対する答えです。「私はラッキーだったんです」とか、 あるいは人によっては「わかりません」 というなんとも参考にならない答えをしている人が多い。

こうした答えが多いのは驚きでしたが、 知識や能力など自分の努力で何とかするもの以外にも 成功の要因があるということなのですね。その点に注目してみるとたとえば、

  • 時代 ほとんどが1990年代後半のネットバブルの頃に起業。 (32人中21人が1990年代後半〜2000年代前半の10年間に起業。)
  • 人 パートナー、仲間との運命的な出会いがあった。
  • 場所 起業前後にアメリカ、シリコンバレー周辺にいた。

というような共通点も多く見られるのです。僕のブログは今回で終わりますが、 実は上にあげた共通点、 次のソフィーの講義にもつながっていくそうなのです。

Outliersそれが、4月からの講義 Environment for Success【成功環境学】 “Outliers“ by Malcolm Gradwell(講義の概要はこちら → http://www.sophy-ac.com/webc/0904.html) です。「ビル・ゲイツがアフリカに生まれていたら?」 「イチローが中国に生まれていたら?」うーん、おもしろそう。 こちらもぜひ読んでみたいですね。

この3ヶ月学んできた “Founders at Work”の共通点を知ったこと そしてさらに4月からの成功環境学を学ぶことで 自分がこの時代に生きている意味、 周りの人たちとの出会いの意味、 などを改めて考え活かしていくことが できるのではないか、と思いました。またこれからも楽しみです。

3ヶ月間お読みいただいて ありがとうございました。お時間がありましたら あなたの感想、気づき、ご意見など お聞かせいただけるとうれしいです。それでは、また!

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