以前、これからの進路に悩み中の高校生に向けて「アメリカ大学留学を考えてみるのもいいと思う」という記事を書きました。
それに関連して今回は「アメリカの大学生活を成功させる3つのワザ」と題して、日本人の留学生がアメリカの大学に早くなじむためのコツを紹介してみたいと思います。
あくまで20年ほど前の私の個人的な留学経験をもとにした内容ですが、
きっとヒントになることがあると思います。
すでにアメリカ留学が決まっている人には、直接参考になるでしょう。
今現在アメリカ大学留学している人も、より良い大学生活にするためのヒントもあるかもしれません。
また、これからアメリカ大学留学を検討する人にも、キャンパスライフをイメージする上で役に立つのではないか、と思います。
【ワザ1】予習のしかたを工夫する
たいていのクラスは教科書があります。その教科書を予習してからクラスに臨みましょう。大半のアメリカ人の大学生は予習をしてこないので、それだけでだいぶ英語力の不足を補うことができます。
ただ、「教科書の次のクラスに該当する部分を一語一句訳す」というような予習のしかたはやめましょう。いくら時間があっても足りませんし、効率も悪いです。
予習は教科書の次のクラス該当部分の「構成」をつかむことだけを行います。太字部分を中心に、それぞれがどういう前後関係になっているのか?というようなところだけを確認しましょう。もちろん興味が出てしまったところは読んでも構いませんが、読む必要はありません。
クラスに先立って「知識の枠組み」を頭の中に入れておき、「クラス中の先生の説明で、その枠組みの中を埋めていく」というようなイメージです。そしてさらに足りない部分は復習で埋めていきます。こういうやり方によって、比較的ストレスなく、時間も取られすぎずに、英語力のマイナスを補いながら、授業についていきやすくなります。
【ワザ2】ノッド&ライト
これは私が留学初期に編み出してうまく行った方法です。「ノッド&ライト」=”nod and write”。つまり授業中先生の話しにとりあえずうなずき、なんでもいいからノートを取る、という方法です。(別名「うなずき大作戦」)
私が留学してすぐの頃は、授業を聞いていてもさっぱりわからず、眠くなるばかりでした。でも、眠ってしまっては評価が下がってしまいます。そこで、とりあえず目を覚ましておくために、先生の話しを聞きながら、話しの合間合間で大きくうなずくようにしたのです。そしてさらにうなずいたあとで、ノートをなんでも言いから取る、ということをしました。言っていることがさっぱり理解できないときは、ふむふむ、とうなずきながら、ノートにはドラえもんの絵を描いていたりもしていました。
とりあえず、寝ないで我慢するための苦肉の策でした。
ところが、これをはじめてから、急に先生の様子が変わってきました。私があまりにも熱心にうなずいているからでしょう。先生が、私の方をいちいち向いて授業するようになってきたのです。そして”Did you get it, Satoru?”などと、ところどころで私が授業についていけてるかを確認してくれるようになってきました。私が、「うーん」と首を傾げて分からない様子でいると、私がわかるように違う言い方をして説明してくれたりもしました。なんだかクラスが私を中心に動き始めたのです。そしてクラスを理解するのが次第に楽になっていきました。
すべてのクラスでこういうことが起こったわけではありません。でもだいたい半数以上のクラスではこの「ノッド&ライト」は効果がありました。
【ワザ3】ワンダリング・イン・ザ・ライブラリー
これは留学して2年目に入った時に編み出したワザです。「ワンダリング・イン・ザ・ライブラリー」は”wandering in the library”、つまり、「図書館でブラブラする」ということです。(別名「図書館ブラブラ大作戦」)
留学を成功させるためにはキャンパス内にたくさんの良い人間関係を作ることが大切です。
アメリカのクラスでは発言を積極的にすることが成績に大きく関わることはよく知られています。クラスで積極的に発言しやすくするには、クラス内に友達をたくさんつくっておくことが一番です。あなたのことを好意的に思っている人が多ければ多いほど、気軽にクラス内で発言しやすくなってきます。その結果、クラスでの先生の評価は上がります。
このための良い人間関係を作っていくために、自分の勉強の休憩がてら、図書館をぶらぶらするのです。アメリカの学生はみんな図書館で勉強しています。ですから図書館を歩いていると、同じクラスの生徒があちこちで勉強しています。同じクラスを受けている人を見つけたら、そっと歩み寄り、すでによく知っている場合にはもちろんのこと、まだ話しかけたことがない人にも話しかけます。
“You take Dr. Kelly’s class, right?”「君、ケリー教授のクラス取っているでしょ?」
相手は当然”Yes.” と答えます。そして自己紹介を軽くし、”Do you like his class so far?”「今のところ彼のクラスは気に入っているかい?」などと質問して多少話しを膨らませ、1〜2分しゃべります。
その後、相手の勉強の邪魔にならない程度のところで、”I got to go. See you in the class.”「行かなきゃ。じゃあ、またクラスで。」などと言って別れます。”Don’t study too much!”「勉強し過ぎんなよ」などとジョークっぽく言い残すのもアリでしょう。
こうやって、図書館を歩いて5〜6人と話したら、私の場合はだいたい気分転換できた感じになるので、また自分の席に戻り勉強を再開していました。
私はこの方法を留学中のビジネス関連のクラス中に思いつきました。その教科書の中で当時流行していた経営手法で”managing by walking around”というものが紹介されていました。当時アメリカでベストセラーになっていたトム・ピーターズの”In Search of excellence”(邦題『エクセレント・カンパニー』)の中で取り上げられていたものです。
これは要するに「経営者や管理職の人がオフィス内をブラブラしながら、部下に声をかけてカジュアルにコミュニケーションを深めていく」という手法。このやり方を聞いて多くの生徒は「なんだそれ」「そんなの効果あんのか」という感じでバカにした様子でしたが、私は「これ、自分の大学生活に応用できるんじゃないの?」と思って、図書館ブラブラ作戦を始めてみた、というのがきっかけです。
私はあまりパーティとか好きな方ではなかったので、留学の最初の方はなかなか友人も増えず、クラスやキャンパスにもなじめない感じだったのですが、この「ワンダリング・イン・ザ・ライブラリー」をはじめてから、急に友人も増え、クラスもキャンパスライフもグッとやりやすくなりました。
以上が、アメリカ留学をした時に大学生活をよりよいものにするために役立つかもしれない3つのワザでした。
もちろんアメリカ以外の留学でも、十分に利用できると思いますので、ぜひ活用してみてください。