英語が話せるようになるために覚えなければいけない英単語数は2万語とも3万語とも言われています。さらに1つの単語に複数の意味があり、イディオムもある。これを全部覚えるのは至難の業です。どうしたらいいのでしょう?この記事ではその究極の解決策を紹介します。
【内容の要約】
- [問題点]英単語がなかなか覚えられない
- [理由]バラバラのものを別々に覚えるのは難しい
- [解決策]「意味記憶」から「エピソード記憶」へと変える
- [具体策]インプットした英単語をエピソード記憶にかえる3つの方法
1.[問題点]英単語がなかなか覚えられない
英単語を覚えるのに苦労している人は多いと思います。私も英単語を覚えるのに四苦八苦した一人なので、その気持ちはよくわかります。
英語のネイティブスピーカーが覚えている英単語数は2万語とも3万語とも言われています。さらに、辞書を調べると1つの単語に10も20も意味があったりします。さらにさらにイディオムや慣用表現とか流行語とかあったりもするのです。
「それらを全部入れたらいったいいくつになるのか!?」と考えたら、人の心なんて、簡単にポッキリと折れてしまいます。
そもそも英単語をひとつずつ覚えていく作業は、地味でつまらない作業です。そんなことに大切な人生の時間を費やすことに、「果たしてそんなに意味があるのだろうか?」と考えたら、もうやる気が続かなくなってしまうのも、しかたないように思えます。
2.[理由]バラバラのものを別々に覚えるのは難しい
私たち人間の脳みそは、毎日毎日の生活の中で実にたくさんのことを記憶しています。自分が実際に体験したことや、とくに感情的になったことなどは複雑なことを詳細にわたり覚えている傾向にあるようです。
しかし、本や教科書から、実際には体験していないものを知識としてインプットしたものは忘れやすいもののようです。
体験していないものを単純な知識として頭にインプットしたときのイメージはこんな感じ。
例えて言うのなら、木の葉っぱだけをバラバラに集めただけで、枝や幹がないようなもの、と言えるかもしれません。
葉を支える部分がないので、パラパラと落ちてしまい、脳の中に定着しません。
また脳の中に残っていたとしても全部バラバラに存在していますので、その記憶を必要なときに引っ張りだしてくるのも難しかったりもします。
3.[解決策]「意味記憶」から「エピソード記憶」へと変える
こういう「体験していない単純な知識」は「意味記憶」と呼ばれているようです。そしてこの「意味記憶」は脳に定着しにくいものである、と考えられています。
だから単語を無機的に丸暗記していくやり方は効率が悪く、なかなか成果が出ないわけです。
ではどうしたらいいのでしょうか?
それは単語を覚える際にその単語に関わる何かを「体験する」ということをすればいいのです。
体験をするとその記憶はバラバラのものでなくなり、一連のつながりを持ったものになっていきます。
イメージとしてはこんな感じです。
経験が幹や枝のような役割を果たすため、個々の知識(葉っぱ)が定着しやすくなります。
そしてその記憶が必要なときに芋づる式にその場にあった知識が引っ張りだされやすくなってきます。
それぞれの記憶のイメージを対比させながら確認してみましょう。
このイラストはもともと漫画家のHugh MacLeod氏がツイートしたもの。
「意味記憶」とか「エピソード記憶」とかいうとちょっと難しく聞こえてしまうかもしれないその概念を、わかりやすいイラストで見事で表現していますよね。
4.[具体策]インプットした英単語をエピソード記憶にかえる3つの方法
頭に入れた英単語やその他の英語表現を「意味記憶」から「エピソード記憶」に変えてあげるための方法で、誰しもが思いつくであろうものは「実際に英語圏へ行ってみる」ということです。旅行をするとか、留学するとか、そんなことです。
もしくは外国で暮らす以外でも、日本にいながらでも英語を母国語とする人を恋人にする、などの方法もあるかもしれません。
でも、なかなかそれらのことが現実的に難しい人も多いでしょう。
そういう方に私たちがおススメしている方法が「興味のあるビジネス洋書を読む」というやり方です。そして洋書を読みながら次の3つのどれかを行うと、インプットした英単語が「意味記憶」から「エピソード記憶」になり、頭の中に自然に定着しやすくなります。
【方法1】洋書(もしくはその他の英文)から理解したものを誰かに説明する
もちろん洋書ではなく、ネット上のブログの英文などでも構いませんが、読んで理解したものを誰かに説明する、ということによってその知識は「意味記憶」から「エピソード記憶」になりやすくなります。「説明する」という行為自体が「体験」だからです。
できれば読んですぐに誰かに説明してみるということができれば最高です。説明した人の「なるほど」とか「よくわからないな」という反応や表情や、そこから出てくる自分の感情などが豊かな「エピソード記憶」を作り出すからです。
もし、すぐにそういう場を作れない時は、少し時間をおいてから、後日誰かに説明してもいいでしょう。ただ、時間が経つと内容を忘れてしまいやすくなるので、できるだけ時間を空けすぎないようにしたいものです。
どうしても対面で誰かに説明する機会を持ちにくいのなら、理解したことを次々とツイートしてみる、というのもひとつの手です。またはブログにまとめてみる、というものアリでしょう。
【方法2】洋書から理解したものを行動に移してみる
理解したものを説明するよりも、その理解した内容を実際に行動に移してみる、ということは「意味記憶」を「エピソード記憶」に変えるための非常に効果的な方法です。
たとえば「習慣」に関する洋書を読んで、その内容から得たアイデアを1つ実生活で試してみるといいでしょう。やってみて、失敗しても成功しても、どちらでも構いません。失敗したら失敗したでその時の感情や体験が記憶の「枝や幹」になりますし、成功すれば成功したでもちろんそれも「枝や幹」になります。
【方法3】洋書から理解したものを行動し、行動から学んだことを誰かに説明する
3つ目の方法は【方法1】と【方法2】を組み合わせた方法。これが最強の方法です。洋書を読んでのレビューだけでは大して面白くありませんが、実際にやってみてうまくいったとかいかなかったという内容は誰もが興味を持って聞いてくれるでしょう。喜んで聞いてくれる人がいればさらなるモチベーションアップにつながります。極めておススメの方法です。
英単語の記憶法に関しては、本当にいろんな本が出ていますし、ブログなどでもいろいろな方法論が紹介されています。
でも、少なくとも私の個人的な経験ではそれらのほとんどの方法は、学校のテストをクリアする程度なら役に立つでしょうが、実際に使える英語にするために数万語という単語を覚えるのには役立ちません。
ぜひこの記事を参考に「エピソード記憶」で、楽しくそして自然に、そしてこれまでよりもずっと効果的にかつ早く、英単語を頭にインプットしていってください。
多くの人は、「単語力がないから洋書なんて読めない」と思い込んでいます。 しかし、実際は逆です。「洋書を読まないから単語力がつかない」のです。洋書を読むことで、そして上記の3つの方法のうちどれかを一緒に行うことで、「意味記憶」が「エピソード記憶」となり、自然と単語力はついていきます。