「知識」を「知恵」に変える教育

現代社会には知識があふれています。しかしその知識を現実の中に落としこみ生かしていくための「知恵」は圧倒的に不足しているのではないでしょうか?私たちが現代に存在している知識の山を知恵に変えていくためにはどうしたらいいのでしょうか?

【内容の要約】

  1. [問題点] 知識をいくらインプットしてもそれだけでは現実の中では役に立たない
  2. [解決策] 知識を行動によって知恵に変えよう
  3. [具体例] 知識を行動に移すには?

留学猫

1.[問題点] 知識をいくらインプットしてもそれだけでは現実の中では役に立たない

現代の教育では知識をできるだけ生徒の頭にたくさんインプットすることが大きな目的のひとつになっています。しかし、現代社会の中で今求められているのは「知識」ではなく「知恵」です。情報化社会の中であふれかえっている情報や知識をどう利用して、どう人のために役立てて、どうより良い社会を作るために使うか、という「知恵」が求められています。

でも、学校や塾、英会話スクールを含め、ほとんどの教育機関で「知恵」を伝える教育、というのは行われていないのではないか、と思います。ほとんどの現場では「知恵」を伝える方法がよくわからないために、心のどこかではそれが本当は大切だと思いながらも、現実的にはほぼあきらめてしまっている状態なのではないでしょうか?

2.[解決策] 知識を行動によって知恵に変えよう

「知識」を「知恵」に変えるのは、実はそれほど難しいことではありません。頭にインプットした「知識」を「行動」に移せばいいのです。

植物のしくみについて学んだら、外へ出て実際に植物の葉っぱをまじまじと見てみる、とか、光の屈折について学んだら、実際に家の水槽を夜暗い中で懐中電灯で照らしてみる、とか、そういうことをすると、少しずつ「知識」が「体験」を通して「知恵」へ変わっていきます。

このことをよく示している図がこれ。

知識を知恵へ
Evolve Your Brain“, p.430

これはJoe Dispenza博士の”Evolve Your Brain“(直訳すると『脳を進化させろ』というような意味)に載っているものです。

この図では、知識(Knowledge)が行動と体験(Experience)を通して知恵(Wisdom)へと変化していくプロセスが表されています。

今の教育のほとんどはこの左側の四角だけがいっぱいにするだけで、それを右側の四角へと移していく場やきっかけが極端に不足しているのです。

この図を見るとわかるように、「知識」は「知恵」への第一歩なので、それを増やすことは大切なことです。現代の日本の教育にはこの部分のストックはみんなの頭の中にたくさんあるので、考え方によっては実は非常に有望です。あとはこのプロセスを意識して右へ右へと頭の中の情報が移行していけるように工夫すれば良いのです。

3.[具体例] 知識を行動に移すには?

たとえば「覚えた内容を人に教える」ということだけでも「行動」になります。だから、「歴史が得意な子が、歴史が苦手な子に教える」というだけでも、グッドです。また歴史が得意ではない人なら「教える」ということをしなくても「話す」だけでもひとつの「行動」になります。例えば「好きな戦国武将を選んでその理由を話して共有し合う」というだけでも、OKです。

またソフィーの英会話スクールでは「読んだビジネス洋書から得たヒントを仕事やプライベートに応用する」ということを生徒にやってもらいます。この効果は絶大で、ビジネスの知識も知恵になっていくばかりか、英語自体も「知識」から「知恵」に変わって「英語が使える」状態にどんどん成長していきます。

「覚えさせなければいけない知識がいっぱいあるのに、そんなことまでしていられない」と思う教師もいるかもしれません。しかし実際は、こういう「行動」や「体験」を通した方が、圧倒的に記憶できる量が多くなるのです。

このあたりの記事は別ブログの記事の「エピソード記憶」についてのお話をぜひお読みください。

『英単語の究極の覚え方:これまでどんな方法もうまく行かなかった方へ』

最初は、この方法に教師も生徒も慣れるまで結構手間がかかるのですが、一度慣れてしまうと教師も生徒もすごーく楽になるはずです。

最終更新日: | 初回公開日: