最近ベストセラーになっている、脳科学者・茂木健一郎さんの『脳を活かす勉強法』読みました。「もう少し脳科学の立場からわかりやすく勉強の仕方を書いてほしかったな」というのが全体を通しての正直な感想。
記憶に関して脳科学の立場から話すのであれば、ぜひ最近話題の「神経可塑性」や「ヘッブの法則」などをからめて話せば、もっとわかりやすくなったのに。
「神経可塑性」や「ヘッブの法則」については洋書学部で扱っている”Evolve Your Brain: The Science of Changing Your Mind“に詳しく書いてあります。『脳を活かす勉強法』が物足りないな、と思った人は”Evolve Your Brain“に挑戦し てみてください。
まずは勉強を楽しむこと
でも、「やっぱり脳科学者である茂木さんの勉強法はさすが理にかなっているなあ」とも思いました。それは「とにかくまずは楽しんで勉強しよう」と言っていること。茂木さんはそれを繰り返し繰り返し本の中で説いています。「なーんだ、そんなことか」と本を読んで思った人もいるかもしれません。でも、脳科学的な立場から効率的な勉強法を考えてみると、これが最も重要なんです。
いろんな勉強法の本がいっぱい世の中に出ています。でも、この「楽しむ」ということができてないと、結局どの方法もうまく行きません。でも、逆にこの「楽しむ」ということができていれば、それらの方法はすごくよく機能するはずです。
いろんな勉強法の本を読み、あれもこれも試してみたけどなかなかうまく行かなかった。そういう人はまずこの『脳を活かす勉強法』を読んでみるといいかもしれません。その後で他の勉強法の本を読み返して実践してみたら、もっとうまく行く可能性が高くなるはずです。
ドーパミンによる強化学習のサイクル
「まずは勉強を楽しむこと」それを繰り返し強調している茂木さんはさすがは有名な脳科学者だな、と思いました。学ぶことを楽しむことが何よりも大切。それについて、この『脳を活かす勉強法』の中でひとつ目を引いたのが、この文章。数年前にベストセラーになった『国家の品格』の著者である藤原正彦さんについての記述です。
藤原さんは間違いなく、ドーパミンによる強化学習のサイクルが暴走して成功したタイプ。最近は忙しくて、数学の問題を考える時間がなかなか取れないそうですが、たまの休みの朝、コーヒーを飲みながら、今日はあの数学の問題を十時間考えられると思うと、うれしくて 笑いがこみ上げてくるそうです。(『脳を活かす勉強法』p.145-146)
このあり方は素晴らしいですよね。こんな気持ちで毎朝起きることができたらどんなに素晴らしいでしょう。
「今日もたくさんのことを学べる。なんて幸せなんだ!」
「今日もこの仕事ができる。なんてエキサイティングなんだ!」
毎朝起きたとき、こんな風に思えたら、なんてすごいんでしょう。そして何が変わるでしょう? こういうあり方を1年も続けたら何が可能になるでしょう?