英語の学習法として、音読学習やシャドーイング学習は根強い人気があります。しかしソフィーではこのような学習方法はやらないほうが良い、と考えています。このような学習方法を繰り返すと英語を話すときにどんどん「自意識過剰」になっていってしまいます。
【内容の要約】
- [現状]音読学習・シャドーイング学習が人気
- [問題点]音読学習やシャドーイングをすると余計にしゃべれなくなる
- [理由]意識が自分向きになってしまうから
1.[現状]音読学習・シャドーイング学習が人気
英語の学習法として、教科書などの英語を声に出して練習していく「音読学習法」や、ネイティブの発音についていく形で発音していく「シャドーイング学習法」は、非常に良く行われている英語学習法でしょう。
繰り返し繰り返し音読していくやり方を勧める英語学習法の本はたくさんあるし、シャドーイングに関しても同様です。また、それらを体系化したノウハウとしてパッケージ化し販売している通信講座や、そういった手法で指導している英会話スクールもたくさん存在します。
たくさん声に出す学習法は、確かに記憶として定着しやすいし、覚えたことが自信にもつながるのかもしれません。また、体力もかなり使うので学習した後に「勉強した」という充実感もあるのでしょう。
2.[問題点]音読学習やシャドーイングをすると余計にしゃべれなくなる
しかし、こういった学習法を続けていると余計に英語がしゃべれなくなってしまいます。確かにたくさんの単語やたくさんのフレーズは覚えると思います。しかし、その覚えた言葉が、いざと言う場面で口からなかなかでてこなくなってしまったり、もしくは覚えた英語を話しても相手に上手に伝わらなかったりするのです。
たとえば2009年末のNHK紅白歌合戦でSMAPの木村拓哉さんが、イギリスの歌手スーザン・ボイルさんに英語では挨拶したのに、彼女にはまったく通じなかった、ということがありました。その時その場面をテレビで見て覚えている人もいるでしょう。
あれは完全に音読学習やシャドーイング学習で覚えたフレーズをそのまま言ってるパターンです。音読学習を続けていると、ああいう感じになってしまいます。
万が一、ひとつめの台詞が通じたとしても、それに対して言い返してきた英語にはまったく反応できないはずです。
その結果「もっと音読学習やシャドーイング学習をしなきゃ」と思い込んでしまうと、どんどん泥沼にはまってしまい。結局「自分には英語の才能がないから」と自信をなくして英語に取り組むのをあきらめてしまいます。
3.[理由]意識が自分向きになってしまうから
英語を音読学習やシャドーイング学習で勉強していくと、英語がどんどんしゃべれなくなってしまうのは、その学習を行っている人の英語の才能に問題があるのではありません。その学習法に問題があるのです。
音読学習のような学習法をしていくと、英語を話すときに、「意識のベクトル」がどんどん自分向きになっていってしまいます。これはつまり「自意識過剰」の状態です。「自意識過剰」になると言葉がでにくくなったり、言葉が出ても声がなかなか相手に届かない感じになり、メッセージが伝わりにくくなったり、会話が続きにくくなったりします。
この「自意識過剰」の状態は、日本人が日本語を話すときでもよくあります。たとえば人前でスピーチをするとき。日本人である私たちは日本語が話せるはずなのですが、人前で緊張し、「意識のベクトル」が聴衆に向かわずに自分向きになってしまうと、言葉がでなくなってしまいます。
また、たとえばあこがれの人が目の前に来たとき。こういうときも「自意識過剰」になってしゃべれなくなってしまったりします。
さらにわかりやすい例をもうひとつ。
結婚式の時などに、誰かがその内容を前もって丸覚えして話すようなスピーチは、ちっとも面白くない、ことが多いですよね?覚えた言葉がなかなか出てこなかったり、途中で詰まってしまったり。もしスラスラ言葉が出てきたとしても、なんとなくセリフを言っている感じで、伝わってこない。
音読やシャドーイング学習で覚えた英語を話す、っていうのはこれと全く同じです。
私も大学生のときとか、音読やシャドーイング学習ってたくさんやりました。特にアメリカに留学が決まってから数ヶ月間はそればっかりやっていました。でも、そうやって覚えた英語が役立ったことって、ほとんどありません。
むしろそうやってトレーニングしたことによって体にしみ込んでしまった「自分向きの意識のベクトル」を修正するのに本当に長い時間がかかってしまいました。
せっかく時間やお金をかけているのに、英語力アップにマイナスになるようなことはぜひ避けた方がいいと思うのです。
このことについてさらに詳しい記事がありますので、興味があればぜひ読んでみてください。