時代の流れはどんどん早くなり、これまでの時代なら出会うことはなかった人と出会う機会はどんどん増えてきています。このような中で初対面の人ともできるだけ早く打ち解けて、意味のあるコミュニケーションができるようになるスキルはかなり必要になってきています。そこで今回は「初対面の人とすぐに仲良くなる方法」を教えてくれる洋書を紹介します。
【内容の要約】
- 今のビジネスマンの大きな課題
- おススメ本:”It’s Not All About ‘Me'”
- なぜ元FBIが人間関係の本を?
- この本のマイナス点
- この本で学べること
- この本を特におススメする人
1.今のビジネスマンの大きな課題
時代の変化はますます早くなっています。情報の流れも人の流れもどんどん早くなり、初対面の人に出会う機会も以前より増えてきています。インターネットで顔を合わせたことのない人たちとの交流も多くなり、飛行機やその他の交通機関の発達で、これまでは出会うこともなかったであろう遠くに住む人と出会う機会も増えてきています。そしてその機会は今後ますます増えていくことでしょう。
そんな中で、「初めて会って人と早く信頼関係を築ける能力」はますます重要になっていきます。信頼関係を築くべき人と信頼関係を短期間で構築できれば、より良い仕事をより小さな労力でできる可能性が高くなってきます。
しかし、他人と信頼関係を短期間で築くのは決して簡単なことではありません。忙しく時間も限られている中で、どうやって人と信頼関係を築いていけばいいのでしょうか?短い時間であっという間に心を開いてもらい、自分を信頼してもらうためには、いったいどうしたらいいのでしょうか?人見知りの人でも、初対面の人と打ち解けることが苦じゃなくなり、スムースに良好な人間関係を築けるようになる、そんなノウハウはないのでしょうか?
2.おススメ本:”It’s Not All About ‘Me'”
短時間で信頼関係を築くためのノウハウ、というのは、実はあります。
それが非常にわかりやすくまとめられているのが、
It’s Not All About “Me”: The Top Ten Techniques for Building Quick Rapport with Anyoneという本です。
これは2013年に出版された「短時間で初対面の人と信頼関係を築く方法」が10個にまとめられた本。元FBIのRobin Dreeke氏がちょうど100ページほどにコンパクトにまとめあげた良著です。(未邦訳)
3.なぜ元FBIが人間関係の本を?
「どうしてFBIの人がコミュニケーションの本を?」と思うかもしれません。私も最初はそう不思議に思いました。
いろいろと調べてみてわかったのですが、FBIは極秘でいろいろなことを調査する上で、政府や企業などの重要人物にパーティーなどの場で一般人を装って近づき、短時間に信頼関係を築いて重要情報を「ポロッ」としゃべらせる、ということを意図的に行っているようです。(映画の一場面でありそうですよね)
その「相手の不信感を解いて、自発的に大事なことをしゃべらせる」スキルは”elicitation”と呼ばれ、FBIの中でしっかりと教え込まれるらしいです。そして「短時間で初対面の人と信頼関係を築く方法」はその基礎となる部分のようです。
4.この本のマイナス点
この本のマイナス点を上げるとしたら、著者が「作家」でないこと、でしょう。
あくまでFBIに勤務していた人が書いたからだと思いますが、文章自体は決して上手な訳ではありません。ですから読んでいてすごく引き込まれるようなストーリーテリングがあるわけでもなく、構成も少し散漫な感じがします。出版も自費出版なのかよくわかりませんが、少なくとも大きな出版社からの出版でないため、中の写真も薄くて見にくいようなものがありますし、全体のデザインもまったく洗練されていません。Amazon.comの読者レビューを見るとそのあたりのところに不満を持ってマイナス評価をしている読者も多いようです。
しかし、内容をよく読むとわかりますが、机上の空論を並べている訳ではなく、自分で体験した生きたノウハウが書かれているのは間違いないでしょう。
事例で出てくるストーリーも、自分のプライベートな体験しかのっていないので、説得力がない感じもしますが、FBIで働いていたときの事例は出せないのは当たり前ですし、学者ではないので研究的なデータとかの提示がないのも、当たり前のような気がします。
この本はどちらかというと一般的に書店で売られている本、というよりは、「FBIの内部研修用のテキスト」と思ったほうが、近いのかもしれません。
5.この本で学べること
この本で学べることはたとえば次のようなことです。
- 相手の心の防御をはずすための「仮の時間制限」の使い方
- 初対面の人と打ち解けるための「非言語メッセージ」の使い方
- 初対面の人と信頼関係を築くための、話の引き出し方
- 相手の防御が固いときにはどうしたらいいのか?
- どんなトピックを選ぶと相手は話しやすくなるのか?
その他にもいろいろな実践的なことが学べます。
巻末にはこれらのスキルを練習するためのエクササイズも掲載されているので、自分一人でも仲間と一緒にでもこのスキルを試しながらトレーニングすることもしやすくなっています。
6.この本を特におススメする人
この本は特に次のような人にお勧めします。
- 営業や接客業に携わる人
- 教育関係者やコーチング関係者
- 起業家や経営者
- どちらかというと内向的で初対面の人が苦手な人
- もっとたくさんの人と深い意味のある話ができたらいいな、と思っている人
- 組織のリーダー
- 中間管理職の方
- 交渉ごとなどに携わる機会の多い方
- 新聞記者
- スパイ
とにかく理屈はいいから、実践的な部分だけをシンプルに教えてほしい、という人に向いています。分量的にも薄いので、比較的取っ付きやすいでしょう。英語のレベルから言えば、TOEIC600点くらいなら、興味があれば十分行けると思います。
ソフィーでもテキストとして取り扱いしています。(通学でも通信でも受講可)このブログで書かれていることを駆使して自分で読むことにトライしてもいいと思いますし、なんらかのサポートがあった方がいい、という方はぜひソフィーのコースに挑戦してみてもいいでしょう。