英語学習で失敗する典型的な9つのパターン

ここでは多くの人が陥ってしまう、英語学習で失敗するよくあるパターンを紹介していきます。まずは自分が今そのパターンに陥っていないかチェックしてみましょう。もしそのどれかに当てはまってしまっているとしても、大丈夫。そのパターンを客観的に理解することができれば、そこからスムースに抜けだすことができるようになります。
failure

1.英語学習の失敗パターンには共通したパターンがある

あなたは今、どのように英語学習をしているでしょうか?英語が使えるようになりたいと思って一生懸命勉強を続けているけど、思うように身につかないで苦しんでいたり、なかなか継続できないで悩んだりしていないでしょうか?もしそうなら、この記事を読む価値があります。

英語学習のきっかけや目的は人それぞれであり、その人にぴったりと合った学習法も人それぞれ違います。ただ、英語学習で失敗するパターンというのは多くの人がかなり似通っており、いくつかのパターンに分類することができます。もちろん例外もあります。ただ、これまで20年近く数多くの英語学習者を見てきた経験上の感覚では、少なくとも9割以上の人がみんな同じようなパターンで失敗をしているように感じます。過去に英語学習で四苦八苦していた時代の私もそうでしたし、英語学習で行き詰まってソフィーにやってくる生徒のほとんども典型的なパターンのどれかひとつ、もしくはそのうちの複数のパターンに当てはまります。

まずは自分が陥っているパターンを認識するところからはじめることは、そこから抜け出すために非常に有効な一歩です。

2.英語学習失敗の9つのパターン

今回は、中でも最もよくある「英語学習で失敗する9つのパターン」を9つ紹介しましょう。

【パターン1】「日常英会話」を身につけようとする

「日常英会話を身につけたい」という目標は、多くの人が英語を勉強する際に掲げるものです。しかし、多くの人はこの目標を達成することができません。なぜか?それは多くの人には「日常英会話」が存在しないからです。

会話猫「日常英会話」はその人がどんな生活を送っているかによって異なります。アメリカに日本から送られてきている駐在員の「日常英会話」とその奥さんの「日常英会話」は違います。また彼らとメジャーリーグの野球選手野球の「日常英会話」は全く違います。さらには留学生の「日常英会話」と研究者の「日常英会話」はまた違います。つまり「日常英会話」は人それぞれ違うのです。

そして多くの人は日本に住んでいて、日常で英語を使う機会がないですから、そもそもその人にとっての「日常英会話」自体が実は存在しないのです。存在しないものに到達するのは不可能です。

【パターン2】リスニングに”真面目に”取り組んでしまう

「英語が聞き取れる耳を作らなければ」と思い、リスニングを徹底的に始める人はよくいます。しかし、多くの場合なかなか成果が出ません。そしてなかなか続きません。なぜなのでしょう?

リスニング漬けで頭がおかしくなってきた猫英語のリスニングをすること自体は決して悪いことではありません。しかし、多くの”真面目に”英語のリスニングに取り組んでいる人が聞いている「英語」に問題があるのです。

エネルギーのある英語があなたの体の中に定着し、あなたの口から出てくるようになるためにはエネルギーのある英語をインプットすることが大切です。しかし残念ながら英語学習用に作られた教材は言葉自体に「エネルギー」がありません。

たとえば外国人用の日本語の教材を見てみたり、聞いてみたりしたことがあるでしょうか?多くの教材の日本語は無機的で、文法的には完全に正しいものの、言葉として伝わってくるものが感じられなかったのではないでしょうか?

言葉には、人が誰かに何かを「伝えたい」と思ったときにエネルギーがこもります。しかし学習用に作った英語の文章は、その内容を誰かに伝えたいと思って書かれたわけではありません。”This is a pen.”という文章は「これはペンなんだ!」と誰かに心から伝えたくて作った文章では、おそらくありません。「伝えたい」という思いがなく作られた文章にはエネルギーがありません。エネルギーのない言葉をいくらリスニングしても、早回しの英語を何回聴いたとしても、なかなかあなたの心には届きません。だからあなたの中にはその言葉は残りません。だから成果は上がりません。

万が一その言葉があなたの中に残ったとしても、エネルギーがない言葉をインプットしているのですから、あなたの口から出てくるのはエネルギーがない言葉だけです。気持ちのこもらないコンピューターやロボットがしゃべっているような言葉を通り一遍にしゃべれるようにはなるかもしれません。でも人間らしい言葉にはなっていかないのです。

【パターン3】 TOEIC・英検などを「究極の目標」としてしまう

テスト猫

TOEIC・英検などの英語も「エネルギー」のない英語です。ですからテスト対策の教材の英語をいくらインプットしても、なかなか使える英語は身についていきません。テストの対策をすればテストの点数は上がりますが、実際の場面で使える英語は身に付きません。

それどころか、変な「クセ」がついてしまいます。実際に英語で会話をする際は、たとえ会話の中の一語が聞き取れなかったとしても気にせずに全体の内容に意識をむけているものです。わからなかった単語にはとらわれず、全体の文脈から意味をとらえようとします。私たちが母国語である日本語で会話をしているときは自然にこれができています。たとえばお年寄りが話す方言で理解できないことばがあったとしても、そこにとらわれ過ぎることなく、わかる言葉や文脈から全体の意味を推測して理解しようとするはずです。

ところが、TOEIC や英検などのテストの勉強の時にはわからない一語に意識を向けるでしょう。そうやって学校の英語の授業では勉強してきましたし、そうしないと点数が上がらない、と思い込んでいるからです。その結果、会話をしていても「わからない単語」に意識がとられるように条件付けられていきます。その人が言っている言葉のうち、わかる言葉や文脈から全体の意味を推測することはできず、「わからない」「理解できない」とパニックのような状態に陥ってしまいます。
TOEICの高得点取得者でも、英語が話せない、と悩んでいる人はしばしばいますが、これはこのような理由から、点数がとれているのに、もしくは点数がとれているからこそ、使える英語が身についていない、という結果に陥ってしまっているのです。

TOEICや英検などは、ひとつの目安にはなるでしょう。だから英語力の目安として時折受験してみるのは悪く無いと思います。でも、それを究極の目標にしてしまうのはやめたほうがいいのです。

【パターン4】: 文法ばかり一生懸命勉強してしまう

英文法を勉強するのは良いことです。それによってきれいな英語を話したり書いたりすることができるようになります。日本語でも、文法の知識があれば、社会人になってからも恥ずかしくないコミュニケーションができるようになる、と同じ理由です。

yomenai_catしかし、英語学習の初心者の時からはじめからこれをやりすぎるのはおすすめしません。ソフィーではだいたい中学3年生くらいまでの英語の文法がマスターできていれば、少なくともTOEIC900点レベルくらいまでは、それ以上の英文法は勉強しなくても良い、と考えています。

英文法の学習をやりすぎると英語が口から出にくくなってしまいます。良好なコミュニケーションのもっとも重要なコツは「相手に興味をもつこと」です。目の前にいる人がどんな人で、何に興味を持っていて、どんな本を読んでいて、どんな映画が大好きで、どんな生き方をしているのか。そういうことに心からの興味を示すことが、まずは重要です。ところが英文法を勉強しすぎてしまうと、自分が英語を話すときの興味が「自分が正しい文法で英語を話しているだろうか」というところに向くようになってしまいます。相手に向かうべき興味が、条件反射的に自分自身に向くようになっていってしまうのです。

ちなみに私たちは母国語である日本語を使って友達などとコミュニケーションしている時、案外文法的には間違った日本語を使っています。試しに明日一日、友だちと話すときなどに文法チェックをしてみてください。意外と間違った文法で違和感なく十分なコミュニケーションがとれていることに気づくはずです。ましてや英語を話すときは私たちはノンネイティブとして話すのです。ですからもっともっと文法的におかしい言葉を話したとしても、相手もほとんど違和感は感じないものです。

もちろん公式な場面で話すときや公式な文章を書くときなどは、もう一歩踏み込んで文法を学ぶ必要がある段階が来るかもしれません。でも、多くの人はその段階になるまでの英語力は必要としないでしょうし、もしそれが必要になったとしたらその時に勉強すればよいだけだと思います。

【パターン5】単語だけを一生懸命覚えようとする

単語を覚えることは英語を身につける上で確かに大切なことです。しかし、単語だけを必死に覚えることはお勧めできません。英語のネイティブスピーカーが覚えている英単語の数は2万〜3万語と言われています。しかも単語によってはひとつの単語に10個も20個もの意味が辞書に載っているものもありますし、他にもイディオムや慣用表現も存在します。それらをいわゆる丸暗記で覚えていくのは到底不可能です。

でも、丸暗記ではない方法なら、可能です。英単語を本の中の文脈や生活の中の体験を通して覚えていくのです。このあたりに関して詳しくは別記事で書いてありますので、そちらを参照してください。→ 英単語の究極の覚え方:これまでどんな英単語記憶法もうまく行かなかった方へ

【パターン6】英字新聞を読むことを日課にしてしまう

英字新聞を読みたいと思って読むのなら、まったく問題はありません。英語圏の新聞を読んで、そこからしか得られない情報を得たいと思って毎日読んでいるのは、自然なことであり、無理なく続けられることであり、続けることで英語力の成果もでやすいはずです。

しかし新聞の内容に興味もないのに「勉強のために」英字新聞を読み続けることは、あまりおすすめしません。興味がないことはなかなか頭に入ってこないものです。なかなか頭に入っていないものに時間を取って向かい合っていても、成果は上がりにくいものです。であれば、興味のある情報をインターネットの英語圏のサイトで調べたり、洋書を読んでみたりする方が、圧倒的に効果的です。興味がある内容は頭に入りやすいものです。頭に入りやすければ学習効果があがりやすくなります。

【パターン7】 「洋画を字幕なしで理解できるようになりたい」という目標を立ててしまう

「洋画」と一口で言ってもいろいろな種類のものがあります。ですから「洋画を字幕なしで理解できるようになりたい」という目標は、かなり漠然としすぎているのです。シンプルなアクションものだったら、中学生程度の英語力でも理解できてしまうものもあるでしょう。しかし、法廷モノとか、医療サスペンスモノとか、専門用語が多かったり、セリフが多かったりするものは、より難しいでしょう。また案外コメディは、社会的な背景を知らないとジョークがわからなかったりするので、全部を理解するのは難易度が高いです。

ですから全部の洋画をまったくの字幕なしで理解できるようになる、のはかなり難しいと思います。もしあなたが映画が大好きで、映画を使って英語力を高めたいのなら、もう少し具体的にしなければいけません。たとえばあなたがトム・ハンクスが大好きだとしましょう。であれば「トム・ハンクスの映画を全部字幕なしで理解できるようになりたい」などするのです。このように範囲を具体的に限定すれば、かなりそれは達成できる確率が上がってきます。

【パターン8】 音読トレーニングを”真面目に”やり続けてしまう

英語を音読したり、シャドーイングしたりしながら学習をしていく方法には根強い人気があります。この学習法は確かに「勉強した感」があります。でも、この方法もソフィーではあまりおすすめしていません。もちろん適度な量なら良いと思いますが、それだけに偏ってしまうことは危険です。音読して覚えた英語だけを話すようになると、スピーチを丸暗記してしゃべっているような、無機的な感じになってしまいます。多くの人はこういうしゃべり方をしたいわけではないでしょう。

self-con-cat何度も言いますが、良いコミュニケーションの基本は「相手に興味をもつこと」です。音読やシャドーイングで一生懸命練習をしている人は、英語で話している間「自分がスラスラ喋れているか」に興味が行ってしまいがちです。その結果、「自意識過剰」のような状態になり、なんだか間を読んでいないようなぶっきらぼうで不自然なしゃべり方になってしまうのです。

 

【パターン9】 英語の発音トレーニングを”真面目に”やり続けてしまう

英会話スクールで”Repeat after me.” とネイティブスピーカーの後について発音トレーニングするようなパターンも良く見られる学習法です。これももちろん適度な分量ならいいのですが、こればかりに偏りすぎることはお勧めできません。

理由はもうお分かりだとは思います。この方法ばかりをやり過ぎると誰かと英語で話している間「自分は正しい発音で話しているだろうか」ということばかりに意識が行き、目の前の人への興味が行かなくなってしまうからです。そしてその結果「自意識過剰」の状態になっていってしまうからです。

3.失敗パターンを知れば、そのパターンから抜け出しやすくなる

以上、よくある失敗パターンを紹介しました。これらの失敗パターンを読んで、自分がそのうちのひとつに当てはまる、と気づいた人もいるかもしれません。でも、ショックを受ける必要はありません。自分が陥ってしまっている失敗パターンに客観的に気が付けば、そのパターンから抜け出すことは比較的簡単だからです。

多くの人はそれに気付けないからいつまでもそのパターンを続けてしまうだけなので、気づいてしまった以上、もうその失敗パターンから少なくとも片足は抜け出せているようなものなのです。

 

 

最終更新日: | 初回公開日: