洋書を使って英語学習を行い成果を上げていくためには、当然ですが継続することが重要です。しかし、継続することは決して簡単ではありません。では、どうすれば洋書を使った英語学習を継続し、習慣にしていくことができるのでしょうか?今回はそのためのヒントをひとつお話してみたいと思います。
洋書を使った英語学習を成功させるには、継続が不可欠
洋書を読む習慣を身に付けていくことは、洋書を使った学習法を成功させる上で非常に重要です。「勉強」という意識がなくなり、習慣でスッと当たり前のように毎日(もしくは 2~3日に一回でも)洋書が開けるようになり、「洋書を開かない日があると、なんだか落ち着かない」というような感じになればしめたもの。こうなればもう洋書を使った英語学習は半ば成功したも同然です。あとはその習慣を自然と日常の中で続けていけば、着実に英語力は向上していきます。
【問題点】しかしなかなか継続ができないことがある
しかし、新しい習慣を身に付けていくのは、時として難しいものです。特に努力らしいことをしなくても簡単に身に付いていってしまう習慣もあるのですが、中にはなぜだかよくわからないけど、努力してもなかなか習慣化していかないこともあります。
もしあなたがすでに洋書を読むことを自然に習慣化できていれば全く問題はありません。でも、もしまだ自分の中でしっかりと習慣化できていないような感じがあるのなら、できるだけ早いうちに何とか習慣化してしまいたいところです。 では、どうしたら洋書を読むことを自分の中に習慣化していくことができるのでしょうか?「洋書を開かない日があると、なんだか落ち着かない」というように自分自身を作っていくことができるのでしょうか?
【提案】村上春樹氏オススメの「チャンドラー方式」を試してみては?
習慣化していくための、コツや方法はいろいろと考えられます。そのいろいろと考えられる中で、今回紹介したいのが、小説家の村上春樹さんが紹介している「チャンドラー方式」という方法です。これはアメリカのハードボイルド小説家レイモンド・チャンドラーが自らの小説を書く際の習慣として話していたのを参考に、村上春樹さんも活用しているという方法です。これは「書く」ための習慣付けの手法ですが、洋書を読む習慣を身に付けていく際にもそのまま応用できると思います。 以下、『村上朝日堂 はいほー!』からの抜粋です。
何はともあれ、ぼくはそれをチャンドラー方式と呼んでいる。 まずデスクをきちんと定めなさい、とチャンドラーは言う。自分が文章を書くのに適したデスクをひとつ定めるのだ。そしてそこに原稿用紙やら(アメリカには原稿用紙はないけれど、まあそれに類するもの)、万年筆やら資料やらを揃えておく。 きちんと整頓しておく必要はないけれど、いつでも仕事ができるという態勢には キープしておかなくてはならない。 そして毎日ある時間を―たとえば二時間なら二時間を―そのデスクの前に座って過ごすわけである。それでその二時間にすらすらと文章が書けたなら、何の問題もない。しかしそううまくはいかないから、まったく何も書けない日だってある。書きたいのにどうしてもうまく書けなくて嫌になって放り出すということもあるし、そ もそも文章なんて全然書きたくないということ もある。あるいは今日は何も書かない方がいいな、と直観が教える日もある(ごく稀にではあるけれど、ある)。そういう時にはどうすればいいか?たとえ一行も書けないにしても、とにかくその デスクの前に座りなさい、とチャンドラーは言う。とにかくそのデスクの前で、二時間じっとしていなさい、と。
その間ペンを持ってなんとか文章を書こうと努力したりする必要はない。何もせずにただぼおっとしていればいいのである。そのかわり他のことをしてはいけない。本を読んだり、雑誌をめくったり、音楽を聴いたり、絵を描いたり、猫と遊んだり、誰かと話をしたりしてはいけない。書きたくなったら書けるという態勢でひたすらじっとしていなくてはならない。たとえ何も書いていないにせよ、書くのと同じ集中的な態度を維持しろということである。 こうしていれば、たとえその時は一行も書けないにせよ、必ずいつかまた文章が書けるサイクルがまわってくる、あせって余計なことをしても何も得るものはない、というのがチャンドラーのメソッドである。 (『村上朝日堂 はいほー!』p.39-41)
応用してみよう!
ソフィーの生徒の中には、毎朝コーヒーや紅茶を入れて、それをゆっくり飲む10分とか20分とかをソフィーの洋書を読んでいく時間と決めて読み続けている人もいるようです。これはまさに「チャンドラー方式」のひとつでしょう。
自宅ではなかなか集中できないようであれば、いつもより少し早めに 出勤し、職場近くのカフェで毎朝30分位、洋書を開く時間にあてるのも良いでしょう。平日が難しいのであれば、週末にそういう時間を作ってもいいかもしれません。
大切なルール
この際に大事なのは、「洋書をとりあえず開くだけでも良い」というルールを持っておくことです。場合によってはその日の気分で、どうしても洋書を読む気分になれない時や、英語が頭に入ってこないように感じるときもあるでしょう。そんなときに無理に読み進めようとすると、洋書を読むことがだんだん億劫に感じ始めてしまう可能性があります。
ですからそんな時は「洋書をとりあえず開くだけでも良い」というルールを思い出し、パラパラとページをめくってみるだけにするとか、前に読んだ部分の書き込みを見返してみる、とか、スマホで著者のホームページを調べて読んでみる、とか、同じくスマホで著者の講演ビデオを探して聴いてみるとか、もしくはただただ開いた本の前でボーっとしてみる、とか、それでも良いのだ、と開き直って決めた時間を過ごしてみるようにするのです。そしてそれを毎日なり、2日に1回なり、毎週1回なり、習慣としていくのです。
ぜひ明日から試してみよう!
「まず場所と時間を決める」という、この「チャンドラー方式」はシンプルですが、シンプルなだけに実行しやすく、案外効果的です。場所を選ぶ際にはぜひあなたの「好きな場所」を選ぶようにしましょう。好きな場所で習慣化したいことをすることで、その習慣化したいこと自体も好きになっていきやすくなります。 ぜひ明日から試してみてください。