私、自分が中学生の時に「睡眠学習器」というのを使ったことがあります。その「睡眠学習器」というものは、本当に効果があるものなのでしょうか?そして本当に睡眠中に学習するなんてことが可能なのでしょうか?
【内容の要約】
- 「睡眠学習器」を使ったことがあります
- 本当に役に立つ「睡眠学習」のしかたとは?
1.「睡眠学習器」を使ったことがあります
実は私、中学生の時に「睡眠学習器」というものを購入し、使ってみたことがあります。「睡眠学習器」というのは、昭和50年代後半〜60年代前半くらいに少年誌などでよく広告していたもの。「眠っている間にクラスメイトに差がつけられる」というような魅力的なうたい文句が印象的でした。
私は確か当時中1か中2だったので、おそらく2こ上の姉が受験勉強で楽をしようと思って親にねだって買ってもらったのではないか、と思います。そのあたりの記憶は定かではありませんが、姉の次に「さとる(私の名前)、使えば」みたいな感じで回ってきたような気がします。
こちらのページに当時の広告などが掲載されているので、興味のある人は見てみてください。
http://www.maboroshi-ch.com/old/ata/ord_07.htm
その「睡眠学習器」は見た目はただの枕でした。しかしその枕の裏にカセットテープを仕込めるようになっていました。
そこに自分が暗記したい内容を録音したテープを入れ、眠る直前のウトウトしている数十分間にそれを聞くと「催眠術のような効果」が働き、潜在意識に直接情報がインプットされるのだ、みたいな理屈でした。その説明は商品に付属した小冊子のようなものに書いてあり、それを必死に読んだのを覚えています。
ただ、そこに入れるカセットテープは特殊なもので「エンドレステープ」とかいうものでした。当時はまだA面からB面に自動に切り替わる「オートリバース機能」のあるラジカセはありませんでした。そこでその「エンドレステープ」は5分だか8分だか忘れましたが、テープの内容を「オートリバース機能」などないのに永遠に繰り返す、という特殊な仕組みのものでした。
まずはそれに自分の記憶したいものを録音する必要があります。しかも、5分だか8分のテープに「ピッタリ」収まるような「台本」を作り、テープに「余白」が残らないように録音しなければいけない、ということでした。
確かその「余白」があると、何も録音されていない部分で「催眠状態」が途切れてしまい、効果がなくなる、みたいなことだったと思います。
私は英単語とその日本語の意味を順番に読み上げる「台本」をまずつくりました。そして録音をします。しかし最初からその5分だか8分にぴったりと収まりません。ぜんぜん「台本」の長さが足りず、単語を追加し、録音に再び挑戦。しかしまだ足りず、追加し、録音。今度は長過ぎて、削除し、録音。次は途中で母親が部屋に入ってきて失敗。もう一回録音・・・。
こんな感じで、ようやく所定の長さにピッタリ録音し終えるまでに2時間か3時間かかったと思います。そしてその時には、わざわざ枕に完成したエンドレステープを仕込むまでもなく、台本の英単語を全部ばっちりと覚えてしまっていました。
結局その「睡眠学習器」はその「仕込み」の段階で覚えてしまう仕掛けになっていて、「催眠術のような効果」で記憶できるわけではなかったのだろう、と思います。たぶんちょっとインチキな商品でした。
2.本当に役に立つ「睡眠学習」のしかたとは?
この睡眠学習器は残念な商品でしたが、実は「睡眠学習」と呼ばれるような効果は誰でも体験できることが最近の脳科学ではわかっています。もちろん、高額な機械などはまったく必要ありません。
やり方は簡単。
眠る前に覚えたいものや理解したいものを読んだり眺めたりして、とりあえず頭にインプットし、少しでも疲れてきたり理解できなくてイライラしてきたら、すぐに寝る、というだけ。
脳ミソには「海馬」と呼ばれる部分があり、この部分は眠っている間に激しく活動しています。何をしているのかというと、起きている間にインプットした情報を整理整頓してくれているのです。
これに関する記事が「ほぼ日新聞」に出ていますので、紹介しておきます。
寝る前にインプットし、寝る。寝て起きたら、もう一回それを見る。また寝る前に見る。寝る。起きる。見る。見る。寝る・・・。を繰り返すのです。
そうすると、最初は訳が分からなかった難しい文章や英文でも次第に「目になじむ」ような感覚を覚えるようになってきます。
ポイントは寝る前にインプットする際にそれが理解できないからといって「イライラしない」ということです。イライラしながら読んでしまうと、脳が上手に働かず、インプット自体が起こらなくなってしまいます。インプットされていなければ寝ている間の情報整理は起こりません。
まったくチンプンカンプンなら眺めるだけで構いません。リラックスして眺めていれば、それだけでインプットは起こります。
ソフィー・ジ・アカデミーではこの「寝ている間に学習が起こる効果」を「カレーライス効果」と呼んでいます。カレーは一晩寝かせると味が具にしみ込んでさらにおいしくなるので、そこから連想して命名しました。
この「カレーライス効果」という言葉はスタッフの間でも生徒との間でもかなり定着していて、ちょっと頭がいっぱいになった様子があったりしたら「ちょっと『カレー』しようか」みたいな感じで使っています。
多くの人はこの「カレーライス効果」を知らないので、何かすぐに理解できないことがあったり、覚えられないことがあるとイライラしてしまいますが、この方法を知っていれば少しでもイライラを感じたら「寝よう」と思えるようになるので学習がとっても楽になります。
イライラしなくてもカレーライスは眠っているうちに味がしみ込んで、起きたら勝手においしくなっているのと同じように、知識も眠っている間に脳ミソに定着して、起きたら自然に理解しやすくなっているのです。
この方法を使うと、たとえば洋書も比較的苦労せずに読めるようになっていきます。
また、何か問題に直面したときも、いつまでもクヨクヨ考えずに、可能な範囲で情報収集したり考えたりしたら、「カレー」するようにすると、ストレスなく良い解決策が浮かびやすくなっていきます。
応用範囲は広いです。ぜひ試してみてください。