学校の英語読解練習ではたいてい少量の英文を正確に読んでいきます。しかしこれは実社会ではあまり役に立ちません。なぜなら社会の中では、大量の英文から要点をつかんだり必要な部分だけを抜き出したりすることが求められるからです。ではどうしたらいいのでしょう?
【内容の要約】
- [問題]英語のリーディングで困っている人は案外多い
- [事実]英語のリーディングはちょっとしたコツでかなりできるようになる
- [私の体験談]アメリカ留学での経験で英語を早く読む方法を身につけた
- [解決策]全体像を理解してから細かい部分を理解していくべし
- [理由]「全体像→細かいところ」という理解のプロセスは自然なプロセス
1.[問題]英語のリーディングで困っている人は案外多い
英語のリーディング力をアップする必要性に迫られている人は、意外と多いです。
TOEICのリーディング部分の点数が上がらなくて困っている人、センター試験の長文部分が苦手で悩んでいる人、研究論文を英語で読まなければいけないのになかなか読めずに苦しんでいる人、外資系企業で働いていて資料やメールが英語で回ってくるのになかなか読めずに時間ばかりかかってしまっている人などなど・・・。
もしかすると英語の会話やリスニングよりもリーディングに困っている人は多いくらいなのかもしれません。
2.[事実]英語のリーディングはちょっとしたコツでかなりできるようになる
ただ、英語のリーディングは、ちょっとしたコツがわかるとかなり短い期間でかなりスピードや理解度を上げることができます。
もちろん英語の本来の実力を伸ばすのは、ある程度の時間が必要です。ただ手持ちの英語力を使って読むスピードと理解度を上げることは、意外と簡単に短期間でできるようになります。
その具体的な方法をソフィー・ジ・アカデミーでは教えているわけですが、この方法の原点は、私がアメリカへ留学したときにさかのぼります。
アメリカへ留学した当初、多くの留学生仲間がそうだったように、私は洋書なんてまったく読めませんでした。辞書を引き引き、やっと1時間かけて半ページ読み進められるくらい。宿題では次の週の授業まで30 ページくらいは読み進めておかなければいけません。そしてそういうクラスが5クラス同時進行で進んでいきます。このままでは到底終わりそうもありません。
最初のうちはそれでも毎日徹夜をして、辞書を引きながらできるところまで、なんとかやろうとするのですが、やっぱり終わりません。読み終わらなかった敗北感とストレスを抱えながらクラスに行くので、なかなかクラス自体にも集中できませんから、まったくの悪循環でした。
3.[私の体験談]アメリカ留学での経験で英語を早く読む方法を身につけた
この悪循環から抜け出すため、一字一句訳したり辞書を引いたりするのをやめることにしました。それよりもクラスで教師がピックアップしそうな部分を全体像から推測し、その部分だけを重点的に読むようにすることにしました。目次から本の全体像をまず理解するようにしたり、著者のことを調べて本の方向性に予想を付けたり、日本語の類書を読んで背景知識をつけてみたり、いわゆる今ソフィーで教えているような方法でテキストを読み始めた訳です。
すると全体像がわかっているので、授業についていけるようになってきました。そして気がついたのは全体像をつかんだ後だと、細かい部分も読めるようになっているという点です。最初から細かいところを読もうとしていた時はまったく頭に入らなかった内容が、全体像をつかんだ後だとずっと楽にしかもはやく読めるようになっていたのです。
これは自分でも「いい方法を発見した」と思いました。 そして全体像から細かいところを理解していく読み方でざっくりと必要なところを読んでいくう ちに、1年くらいたってみて気づいてみると、かなりの英語力の実力がついていることに気がつきました。
「この方法をはじめから知っていれば、もっと楽に英語ができるようになったのに!!」
そう思ってその読み方を体系化したのが、今のソフィー・メソッドです。そしてそれをクラスに落とし込んで今の英会話スクールができていきました。
4.[解決策]全体像を理解してから細かい部分を理解していくべし
従来の教育では英語の細かいところをひとつひとつ理解したり訳したりしながら、積み上げ式で全体像を理解する方法を教わります。
この方法は少ない情報量のものを丁寧に理解していくにはむいています。しかし、大量の情報量を処理し、短時間で書き手のいいたいことの全体像を理解したり、必要な部分だけを抜き出したりするには、むいていません。
大量の文章を処理していくには、従来の教育とは逆に全体像を見てから細かいところを見ていく、という方法が有効です。それはたとえて言うなら「地図を広げて、行きたい場所への道のりの全体像をつかんでから歩き始める」ようなものです。地図もなしにやみくもに歩いた時と比べて圧倒的に効率的に正確に目的地に着く可能性が高くなります。
5.[理由]「全体像→細かいところ」という理解のプロセスは自然なプロセス
この「全体像を見てから、細かいところを理解していく」という読み方は、考えてみれば、誰もが母国語の本を読むときに自然にやっていることです。
たいていの日本人は日本語の本を選んで読む時は、 まずその本のタイトルを見たり、表紙のデザインを見たり、中のイラストを見たり、著者の略歴を見 たり、というようなことをして全体像をまずつかもうとするのではないでしょうか。そしてそれから細かい内容を読んでいこうとするのではないでしょうか?(小説や物語は別かもしれません)
なぜならそのやり方の方が大量の情報を処理する時には向いていて、読みやすいからです。
ところが英語を読むときになると学校教育の時の一語一句訳していくクセが出てしまいます。そのため大量の文章を読むのには極めて不向きな方法で英語を読むことになり、なかなか全体の意味がつかめない、という泥沼に落ち込んでいきます。そこで意識的に、半ば強制的に、合理的な日本語を読むときにやっているようなプロセスに意識的に直していく、 ということが私たちのスクールで行っていることです。
母国語を習得途中の子供を見ていると、「全体像を見てから、細かいところを理解していく」というやり方で、 まだ知らない言葉がいっぱいあっても絵本などを楽しみながら読み進めていきます。おそらく最初は絵や知っている言葉などを手がかりに全体像をつかんで楽しんでいるのだと思うのですが、 繰り返し読んでいるうちに細かいところも読めるようになり、言語能力が自然と上がっていきます。
同じように大人もトップダウンで読んでいるうちに、最初は全体像だけしかつかめなかったのが、 それを継続していくと次第に細かいところも正確に理解できるように英語力が自然とあがっていきます。最初は英語の本を読むことに抵抗感がある人も多いですが、ほとんどの人が数ヶ月で抵抗感が薄れ、まずは全体像がつかめるようになってきます。そしてあっという間に英語のリーディングのスピードがアップします。これで大量の英語に触れるのが苦でなくなって、英語の文章をガンガン普段から読むことが当たり前のようにできるようになります。
そしてその結果として、長期的にも自分でも気付かないうちに英語力が着実に伸びていくようになるのです。
さああなたも今すぐ近くの興味のある英語長文を手に取って「全体像→細かいところ」というプロセスを試してみませんか?