アメリカではコミュニケーションに関する学問や研究が非常に進んでいます。ですからその分野の名著は日本に比べて非常に多く、日本人が英語を勉強しながら読み、コミュニケーション能力をアップさせていくのに適しているものがたくさんあります。今回は特に家族とのコミュニケーションに焦点を当て、その分野でおすすめの洋書を紹介していきましょう。
【問題点】コミュニケーションって難しい
コミュニケーションって簡単ではありません。特に毎日顔を合わせている家族同士のコミュニケーションが簡単なようで一番難しかったりします。しかし、家族同士のコミュニケーションがうまくいかないと、何から何までうまくいっていないような気分になってしまいます。仕事にも集中できないし、遊びに行っても心から楽しめない。ずっとうっすらと霧がかかっているような気分が続いてしまったりします。
こういう状況に陥ってしまった時、私たちは一体どうしたら良いのでしょうか?
【解決策】コミュニケーションに関する洋書の名著を読んで実戦すべし
幸いにしてコミュニケーションに関する学問や研究というのは案外進んでいます。アメリカの大学には「コミュニケーション学」という専攻分野もあり、何を隠そう私もその専攻でウエスタンケンタッキー大学というところで学位を取りました。
おそらくアメリカは様々な人種や文化的な背景の異なる人たちが一緒に住んでいるので、日本のような「以心伝心」というのが当たり前ではなく、そのために「どうすればより良いコミュニケーションができるだろうか」ということに関する研究や考察が進んだのでしょう。
ある意味「どうすればより良いコミュニケーションができるようになるか」ということの答えはすでにそれらの研究成果によって出揃っている、と言っても良いくらいです。あとはそういった研究成果をわかりやすくまとめてくれている本を読み、実践すればよいだけ。ちょっとしたコツや原則を知ったりするだけで、まわりの人間関係は劇的に改善したりします。
今回は特に家庭内のコミュニケーションを改善し、家族の絆をより深めたい人向けに特にお勧めの洋書の名著を5冊厳選して紹介します。
家族内のコミュニケーション改善に、強くお勧めしたい洋書の名著5冊はこれだ!
1. “Just Listen”
精神科医でありビジネスコンサルタントでもある著者が相手に心を開いてもらうための「聴く技術」を体系化した本です。これまでに人質解放の説得交渉などでの利用するためにFBIでも指導した経験があるなど、体系化されたその内容は高く評価されています。家族のコミュニケーションを改善したいなら、まずはこの1冊。どんな立派なことを言うよりも、家族の話に耳を傾ける姿勢を示すことが何より重要。そしてそのためには「聴く技術」というのを身につけることが、極めて大きな変化を起こすための重要な第一歩となります。
[この洋書からあなたが学べることはたとえば・・・]
- より上手に相手の話を聞く方法
- 相手の「言葉以外の言葉」を聞き取る方法
- コミュニケーションの中で自分の感情を制御する方法
- 相手に「自分を理解してもらえた」と感じてもらうための6ステップ
- 目の前の相手に「自分はあなたに興味を持っている」ことを伝えるための方法
- 相手に「自分には価値がある」と感じてもらう方法
- 自分の弱みを使い、相手に心を開いてもらう方法
- 人を動かすための「説得のサイクル」とは?
- 緊張した状況で相手の心を開かせる方法
2.“How to Talk so Kids can Learn”
親の声のかけ方によって子供の学習意欲は大きく左右されます。親は子供がなかなか家で勉強をしようとしなくってイライラしてしまったりすると思いますが、だからといってイライラした気持ちから子供に小言を言ってしまえば、それは逆に子供の学習意欲を失わせる結果となってしまいます。この本では著者たちが子供の学習意欲が自然な形で促されるような、より良い声のかけ方や接し方を教えてくれます。実例やイラストを示しながら、一歩一歩家庭で応用できるヒントがいっぱいです。
[この洋書からあなたが学べることはたとえば・・・]
- やる気を失わせる感情とのつきあい方
- 気持ちを学習へ向かわせるための7つのテクニック
- 「罰を与える」ことが、逆効果になる理由
- 相手の問題を一緒に解決していく6ステップ
- 相手のやる気を促進するほめ方と叱り方
- 相手のやる気を促す話の聞き方
3.“Leadership and Self-Deception”
どうして家族とだとついきつい言い方をしてしまったりするのでしょう?職場の人や友だちには優しい口調で冷静に話せるのに、どうして身内だと自分をコントロールできずに余計なことを言ってしまったりするのでしょう?その原理を「箱」という概念を使って極めてわかりやすく説明してくれている名著。基本的にはビジネスマン向けのリーダーシップを開発する目的の本なので、その内容もトムという主人公が転職先でリーダシップの研修を受けていく、というストーリー仕立てになっているのですが、家族とのコミュニケーションを考えて根本的な改善をしていくのにもピッタリな一冊。まさに名著。
[この洋書からあなたが学べることはたとえば・・・]
- 多くの人が家族の中でのコミュニケーションの問題を生んでいる原因、「箱」とは何か?
- どうして我々は「箱」に入ってしまうのか?
- どういうときに我々は「箱」に入っていると言えるのか?
- どうすれば自分が「箱」に入っていると気づくことが出来るのか?
- どうしたらその「箱」から抜け出ることが出来るのか?
4.“For Women Only”
女性が男性を理解するための本。女流小説家の著者が自分が書いている小説の男性キャラクターの心理描写をするために身近な男性たちに「典型的な男性心理」についてヒアリングし始めたときに「自分を含めた女性たちが、いかに男性心理をしらないのか」にショックを受けたのが、この本を書くことになった、そうです。そこから統計専門家たちに支援を受けながら男性たちにアンケート調査をし、「女性の知らない男性心理」を客観的に明らかにしていったのがこの本です。「どうして男って・・・」「どうしてウチの旦那って・・・」「どうしてウチの息子って・・・」と思ってしまう女性はこの本を読むことで男性とのコミュニケーションがぐっと楽になるでしょう。
[この洋書からあなたが学べることはたとえば・・・]
- なぜ男性はそんなに勝ち負けにこだわるのか?
- なぜ男性は見栄を張るのか?
- 男性は何を女性に求めているのか?
- なぜ男性とはなかなか話が通じないのか?
- なぜ男性は他の女性に目移りするのか?
- どうすれば男性を喜ばせる会話が出来るのか?
- どうすれば男性に好かれるようになれるのか?
- どうすれば男性との関係を長く良いものに保てるのか?
※ちなみにこの本の「男性向け版」”For Men Only“は「どうして女って・・・」「どうしてウチの嫁って・・・」とイライラする事がある男性に超オススメです。
5.“How to win Friends and influence people”
1930年代に出版されてから今に至るまで売れ続けている超ベストセラー&ロングセラー。人の気持ちを動かし行動してもらうためのコミュニケーションの原則や具体的なメソッドが満載です。
。ストーリーも豊富で読み物としても楽しい。日本語でも『人を動かす』というタイトルでずっと売れ続けている本ですが、もしその本が好きなら絶対に原書を読んでみることをお勧めします。著者であるデール・カーネギーの優しい口調が文章を通してダイレクトに感じられるはず。限りなく深い慈愛を持った「カーネギーおじいちゃん」に、暖炉の前で教えを受けているような、そんな気持ちになれるはず。そして邦訳版を読んでいたときより、さらに何倍も深い理解度が得られるはず。家族の中のコミュニケーションはもちろん、その他のコミュニケーションを改善したいすべての人にオススメです。
[この洋書からあなたが学べることはたとえば・・・]
- あなたの第一印象を良くするための方法
- 会話上手になるための方法
- 相手に自分を好きになってもらうための方法
- 他人に影響を与えるための方法
- 他人から協力してもらうための方法
- 他人を自然に変えるための方法
- 良いリーダーシップをとるための方法
まとめ
どれも英語としては比較的簡単な方なので、興味のあるものを1つ手にとってぜひ挑戦してみてください。「洋書を読む」という姿勢よりは、「つまみ読みをして改善のためのヒントを1つでも探す」という姿勢でトライすると、うまくいきやすいと思います。
これらの5冊の洋書を読んで実践すれば、あなたはもう「家族コミュニケーションマスター」。家族の絆は必ず深めることができるはずです!