洋書を読んでいると知らず知らずのうちに視覚情報に頼りがちになってしまいますが、学習効果を高めるためには複数の感覚を刺激することがとても効果的です。では具体的にどうすれば洋書を使った英語学習の際に複数の感覚を刺激していくことができるのでしょうか?今回は洋書を使った英語学習をさらに加速したい方にお勧めの学習法を紹介していきます。
【問題点】視覚情報だけに頼った学習方法はもったいない
ソフィーの洋書テキストの中の1つに脳科学入門に最適な“Brain Rules”という良著があります。この本の中で著者のジョン・メディーナは、最新の脳科学の発見に基づき、それを人間の成長や学習に上手に役立てるための「10のルール」をまとめています。そしてそのルールの9つ目に、次のようなものがあります。
Rule #9:Stimulate more of the senses at the same time.
(複数の感覚を刺激すべし)
学習をより効果的なものにするためには、たとえば「教科書を読む」というように視覚だけを刺激するのではなく、その教科書の内容を音読することによって聴覚も刺激するなどをして、複数の感覚を刺激すると良い、と言っているのです。この方法を上手に応用すると、洋書を使った英語学習の効果をグッとアップさせていくことができます。では具体的にどのようにすれば、洋書を使った英語学習の際に複数の感覚を刺激していくことができるのでしょうか?
【解決策】洋書と映画を組み合わせて学習を進める「ブック&ムービー」で感覚を刺激しよう!
このルール9を使って、洋書を使った英語学習をする際に複数の感覚を刺激しながら学習効果を高めていく方法はいくつかあります。それらの中でも、映画好きな人に非常にお薦めなのが洋書と映画を組み合わせながら学習を進めていく「ブック&ムービー」とソフィーで呼んでいる手法です。
アメリカ人は映画好きな人が多いからか、アメリカの本のビジネス系の本の中ではしばしば映画の引用が出てきます。また本の中で出てくるストーリーが映画化されていたり、もしくは映画そのものが本として再編集されて出版されている、というようなものもあります。
こういう種類の洋書を使えば、映画を楽しみながら複数の感覚を刺激し、洋書での英語学習を進めていくことができます。 それではおススメのものを6つ紹介しましょう。
五感を刺激して楽しめる「ブック&ムービー」6選
【お薦め1】“How to be like Walt”+『ウォルト・ディズニーの約束』
ウォルト・ディズニーの生き様から、ビジネスで成功するための考え方や、よりよい人生を生きるヒントを学ぶことができる良著が“How to be like Walt”。ディズニーランドやディズニー映画が好きな人はもちろん、それ以外の人でも十分に楽しめる内容に仕上がっています。この本の中の一部には『メリー・ポピンズ』を映画化する際に、原作者のパメラ・トラヴァースがなかなかOKを出さずに苦労したストーリーが出てくる。そしてまさにその部分が一本の映画になっているのが『ウォルト・ディズニーの約束』。トム・ハンクスのウォルト役が本当にハマり役で見入ってしまいます。さらにパメラ役のエマ・トンプソンの演技も秀逸です。本を読んでいる途中でこの映画を観れば、本の内容にぐっと入り込んでいくことができるはず。もちろんこの映画以外にもウォルトが作った映画の裏話がいっぱい出てくるので、それらの映画も合わせてどうぞ!
【お薦め2】“One”+『素晴らしき哉、人生』
「1人」からでも実はたくさんのことができる、ということを気づかせてくれるおしゃれデザインの洋書が“One”。理屈じゃなくって、もっと感覚的な部分で気持ちをUPさせたり、勇気を出したりしたい人にピッタリなのがこの本です。この中では『素晴らしき哉、人生』という映画が紹介されています。英語圏ではクリスマスの定番としてよく知られているこの映画ですが、日本での知名度はそれほどでもないようです。しかし一回観れば、定番になるには定番になるだけの理由がある、というのがきっとよく分かる、まさに名作映画です。私は個人的には自分が今まで見た映画で最も泣いた映画です。
【お薦め3】“Creativity Inc.”+『トイ・ストーリー』
ピクサーはなぜアニメーション映画のヒット作を連発し続けることができるのか?を創業者のうちの一人、エド・キャットムルがまとめ上げた経営書の傑作がこの“Creativity Inc.”です。この本の中にはたくさんのピクサー作品の裏話が出てくるのですが、一番見てほしいのはやっぱり『トイ・ストーリー』。この本を読みながら映画を観ると、この映画の奥深さを感じることができると思います。「『トイ・ストーリー』なんて子供向けのアニメでしょ。」と少し軽く見ていた人、きっと認識が変わります。
【お薦め4】“Blur”+『チャイナ・シンドローム』
情報が混乱する社会の中での情報の真偽を見分方を著名ジャーナリストたちが教えてくれる「メディアリテラシー論」の良著“Blur”。この本の冒頭部分では、スリーマイル島の原発事故がもしインターネットが発達した現代で起こったらマスコミはどれだけ混乱するだろうか?という切り口で始まります。そしてその流れの中で、たまたまスリーマイル島原発事故の発生直前に一般公開されたという不思議な公開経緯を持つ、原発の怖さをアメリカに知らしめた名作映画『チャイナ・シンドローム』のことにも触れています。この映画は、どうしても原発絡みの印象から「おどろおどろしい映画なんじゃないか?」という偏見で見られがち。しかし実は非常にストーリーがしっかりしていて、原発うんぬんのことを抜きにしても、十分に楽しめるまさに名作と言える映画です。必見。ちなみに“Blur”で描かれた「今の時代に原発事故が起こったら」という空想は、この本の発売開始の数カ月後に起こる福島の原発事故で現実になります。これもまた不思議です。
【お薦め5】“What the Bleep Do We Know!?” +『超次元の成功法則~私たちは一体全体何を知っているというの!?』
上の4冊のパターンとかなり違うのがこのセット。もともとはこの映画が先で、それをもとに本が出版された、というパターンです。ゆえに、このセットはまずは映画を先に見るべきでしょう。映画は量子力学などの最新科学の研究をしている科学者たちが言っていることが、仏教や成功哲学の中で言われていることとリンクしている、ということを多数の著名人のインタビューから浮かび上がらせていく、という内容。インタビュー中心なので、それをじっくりと味わえるように本に起こした、という形になっています。単純に最新科学に興味がある人にも、同時に成功哲学的なものに興味がある人にも、どちらにもお薦めです。
【お薦め6】“The Accidental Salesperson”+『シティ・スリッカーズ』『ア・フュー・ グッドメン』『チャンス』『バック・ドラフト』など
ルートセールス以外のセールスを行う営業マンが「体系的なセールスを行うためのノウハウ」を学ぶための良著が“The Accidental Salesperson”。この本の中では読者が楽しく学びを深められるように、様々な映画の中からセールススキルの向上のヒントとなるアイデアをピックアップしてくれています。紹介されている映画は非常にたくさんあるので、いくつか興味のあるものだけピックアップして観てみるのも良し、気合を入れて全部観ちゃうのも良し、だと思います。
おまけの+2
映画ではないのですが、合わせて観るのをお勧めする動画が存在する洋書をあと2つおまけで紹介しましょう。
【おまけ1】“Justice”+ハーバードの無料オンライン動画
NHKの番組で有名になったハーバード大のサンデル教授による正義にまつわる哲学の入門書“Justice”。オンラインで公開されている彼のハーバードでの講義を視聴しながら読み進めば効果抜群。実際に留学したような気分と効果を体験できるでしょう。このセットに3ヶ月間取り組めば、混沌として見える今の政治の問題点や未来が非常によく見えるようになっているはずです。 URL: http://justiceharvard.org/justicecourse/
【おまけ2】”Emotions Revealed”+『ライ・トゥー・ミー』
“Emotions Revealed”の著者は表情と感情の関連性を研究する専門家。FBIの捜査に協力していることも有名です。そしてこの著者彼を主人公としたドラマシリーズが『ライ・トゥー・ミー』。日本では定額ストリーミング動画サービスHuluで現在のところ視聴できるので、両方一緒に楽しみながら学んでいくと、その表情から相手の本当の気持ちを読み取ることができるようになり、さらに自分もより効果的に相手に気持ちを伝えることができるようになっていくでしょう。 URL: https://www.happyon.jp/lie-to-me
まとめ まずは1組選んでみよう!
以上の中からまずは1組選んで挑戦してみてください!きっとぐっと深い学びを得ることができると思います!